小説 ハートキャッチプリキュア!

小説 ハートキャッチプリキュア! (講談社キャラクター文庫)
著:山田 隆司 イラスト:馬越 嘉彦

「勇気、愛、友情、優しさ、悲しみ、喜び……たくさんの気持ち。みんなの心。私は戦う!みんなの心のために!」

月光に冴える一輪の花。

2015年9月の新刊。約3日の積み。『ふたりはプリキュア』と同時発売。
『プリキュア』ノベライズ第1陣は初代と『ハトプリ』が選ばれた。何故『ハトプリ』なのかって話だけど、著者の山田さんが同じニチアサ枠の『おジャ魔女どれみ』のノベライズを別名義でやってるからってのも理由にあるのかしら。
というわけで執筆するのは本編メインライターの山田さん。表紙イラストは勿論キャラデザの馬越さん。

事前に公開されていた表紙イラストと粗筋からムーンライトさんがメインで、かつ本編をなぞった展開なんだろうということは予想がついていたけど、大体その通りでしたね。

最初の100ページくらいはキュアムーンライト誕生を丁寧に描いている。薫子さんにプリキュアになることを認めてもらうために修行するとかいうオトコマエな展開で吹く。そりゃ生身でも強いわけだわ。

コロンからプリキュアの種を得て変身するゆりさんのシーンは感慨深いものがあるな。よし、このプロローグ部分をOVAでやろう(提案)

ムーンライトさんがメインという時点でハードな展開になるだろうとは思っていたけど、「社会的制裁」とか「嬲り殺す」とか「血を吐く」とかいう表現が出て来て震える。俺が読んでるのホントに『プリキュア』のノベライズなんだよな……?って心配になってくる。
サソリーナの素体になった人間の過去、悲惨過ぎるだろ……。ノベライズで規制が緩んだからってブチ込んでき過ぎですわ……。

設定的に色々補完されている部分があるのが嬉しい。どうやら砂漠の使徒はDNAを扱う技術を得ていたようで、サソリーナ達3幹部も砂漠の生物のDNAを組み込まれた人造人間という扱いだったんだとか。

ダークプリキュアがプリキュアと同じタクトや技を使えるのはこころの大樹の力も組み込まれているとか、片翼の理由も明らかに。
しれっとキュアフラワーの先代がキュアローズだったことも書かれている。それ何てミルキィローズ?

更に何故かコッペ様の身体の中にある異空間、温泉が登場。これ、コミカライズ新装版のコメントに書かれていた、最終決戦のプロット段階であったけどボツになったっていう話じゃねーかw

他にも本編では殆ど出番の無かったパフュームでの身体能力強化も登場したのが嬉しかったな。あのシステム、便利そうなのに全然使われなかったからな……。

最後の最後でお父さんとコロンの生存エンドワンチャンないかなと淡い期待を抱いていたんだけど、全然そんなことなかったわ……。

4クール分を200ページくらいの尺に収めているので駆け足なのは仕方ないか。ただ、頻繁に出て来る「ダークなエネルギー」って表現が気になったな。他のところはやたらめったらハードなのに、この表現だけ妙に子供向けっぽくて違和感が。「闇の力」で良かったと思うんだけど。

次は2016年3月に『プリキュア5』『フレプリ』。

燃:A 萌:A 笑:B+ 総:A+

本編リンク
ハートキャッチプリキュア! 最終話「みんなの心をひとつに!私は最強のプリキュア!!」

シリーズリンク
小説 ふたりはプリキュア(2015/09)
小説 フレッシュプリキュア!(2016/03)

著者リンク
おジャ魔女どれみ16(講談社ラノベ文庫、2011/12)