僕のエメラルド・シティ

スペース☆ダンディ第十話

「最近宇宙人捕まえてないですね」「ん、ああ……明日から本気だすか」

 

宇宙船の修理のため立ち寄ったミャウの故郷。そこに飛来したパイオニウムが引き起こしたループ。果たしてダンディ達は繰り返される一日間から抜け出すことが出来るのか。

アバンの巨大兵器アレーと破壊兵器コレーはあからさまに何かしらのパロディなのだろうが知識不足で僕にはわからなかった。胸からライオンの顔出てくる挙動に特定のロボットアニメよりギャグマンガ日和っぽい空気を感じて笑ってた。

「明日はきっとトゥモローじゃんよ」というタイトルからすでにループ物っぽい気配を感じる事が出来た人もいたようだが、僕はアニメで実際にループが起きるまでさっぱり気付かなかった。いざループに巻き込まれても、ダンディ達はループにまったく気付かない。どうやって気付くのかと思ったら、ナレーションが作中の人物に語りかけてループである事を教えるという荒業。驚愕である。そんなの有りかよ。

舞台には町工場、スナック、ジャスコ等々、田舎のテンプレートが詰め込まれている。そして、作りかけで投げ出された高架橋。変化=「停滞していないもの」が途中で止まっているという事象は、ほかのどんなものよりもそこが「停滞」しているという印象を与える。そもそも日常という、不特定的な「毎日」というものはもはやループなのか昨日と変わらない今日なのかの判別がつかない。停滞した場所での、停滞した日常。

そして、そこから脱出した先でダンディ達が何をするかといえば、何のことはない。違う環境での日常だ。では何故彼らは脱出したのか。「ブービーズに行けないから」だ。終始ギャグで描かれているが、根幹はギャグでもなんでもない。理屈の上で考えれば何も変わらないからこそ、自分自身が満足できる場所を、人は選ぶのだ。

この話が描いたのはこの世のあらゆる場所に存在する光景だ。ある日常から別の日常へと変化するという、その現象そのものだ。

新生活。たとえば引越しであったり、就職であったり転職であったり。それらはすべて、元の場所や元の生活と、根源的にはなにも変わらない。

 

だからこそ、自分が望む場所に生きなさい。そういう話だ。

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