『Lispマシン・プログラミング技法』を読んで色々気になったことをメモ。
*ファイルの先頭*
サンプルプログラムのソースに、defpackageは出てくるものの、
in-packageが出てこないので、不思議に思っていたんですが、
第29回慢性的CL勉強会でg000001さんに
Lispマシンでは、ファイルの先頭の行が意味を持つので、
ここでパッケージを指定したりする。
と教えていただきました。
確かに、ソースの先頭の行を見てみると
;;; -*- Mode: LiSP; Syntax: Common-lisp; Package: GRAPHER; Base: 10 -*-
と、いかにも意味ありげなコメントが書いていました。
Lispマシンは基本的に8進数を使うという話を聞いたことがありますが、
上記の様に「Base: 10」を記述しておけば10進数を使えるみたいですね。
*CDR’ing down*
気になったソースとコメント。
(defmethod (delete-self node) ()
;; (borrowed from tv:sheet's :kill method)
;; Do it this way to prevent CDR'ing down list structure
;; being modified
(loop until (null arcs)
do (delete-self (car arcs)))
(setq *all-the-nodes* (delete self *all-the-nodes))
CARを取ってますが、その要素が削除されるためリストを先頭から辿っていくことになります。
当たり前といえば当たり前ですが、LISPではこんなソースを書いたことがなかったので、少々面食らいました。
ところで、”CDR down”という言葉は知っていたのですが、
“CDR’ing down”という言葉ははじめて知りました。
「くだりんぐ」の辺りがリストを下っていく感じがしていいですね。
*パッケージの指定*
現在のCommon Lispでは『cl:car』のようにコロンを使ってシンボルが属すパッケージを
指定することが出来ますが、当時のLisp Machineではもう少し凄いことが出来たようです。
(defparameter
*grapher0display-margin-components*
'dw:((margin-ragged-borders )
(margin-scroll-bar :history-noun "display")
(margin-scroll-bar :history-noun "display"
:margin :bottom)
(margin-white-borders :thickness 2)))
リストに対してパッケージを指定しています。詳しい説明は書いてありませんでしたが、
恐らくリスト内のシンボルが属すパッケージを丸ごと指定しているようです。
*入力できない*
ちょっと笑ったのがこれ。
(format t "~&Didn't find an arc between~
~'I⊂~A~⊃ ~and ~'I⊂~A~⊃"
node1 node2)
入力できないよ( ^ω^)
「~⊂」と「~⊃」フォントの変更を行うそうです。
引数に’Iが書いてあるので恐らくイタリック体に変更しているのかと思います。
*フォント*
上に続いてフォントの話。
「(char= char #\a)」という式について以下のような説明がありました。
char=による比較は厳密である。これは(大文字の)Aに対してtを返さないばかりか、
小文字のAに対しても、ファイルの中で異なった文字スタイルをしていたらtを返さない。
そういえばCLTL1では文字型がfontという属性を持っていましたね。
Lispマシンの名残だったのか。
(「ファイルの中で」と書いてあるのはファイルから読み取った文字に対してchar=を使っているためです。)
他にも「引数の名前をignoreにしたら、その引数を使用しなくても警告が出ない」とか、
「declareは無いものの、ほぼそっくりの書き方で型宣言が出来る」など、
色々と気になる話がありました。やはりこの本は面白い。