「男の嫉妬、焼けぼっくいか・・・」
湯浅回。この人は俗なキャラクターを描くのが上手いのだろうか。思えばピンポンもそうだった。僕にとってのピンポンはどうも俗世離れしたというか、透明というか、欲とは一線を画した存在達の戦いであり、だからこそ、そこを一歩退いたアクマに彼女ができ、辞めたように見えてしかしその中に留まったペコはゲームセンターなどで戦い続けていたりという描写だと思っていたので、どうも湯浅監督のピンポンが醸し出すキャラクターの、よく言えば人間らしさというものになるのかもしれない、真田が顕著だが、まあそういったものに拒否感を覚えてしまったのだが、今回はその辺りも上手いことマッチしていたように見える。スニフの声のえらそうな魚とか、飯のことしか考えられないミャウとか、手伝ってもらったのにあっけなく「サヨナラ!」とか言ってダンディ達を置いていった挙句、彼女を寝取られて焼身自殺する魚とか。逆にダンディはいつもと比べると超然的というか、大物っぽいというか、なんとも落ち着いていた。こういう風にバランスを取っているのだろうか。
惑星ゴーインナカレーによって衛星にされた惑星カノジョーがその実、ゴーインナカレーに存在する水を引きずり回しているのは、名前も相まって男女の駆け引き的なものを感じた。水が何の比喩なのかまではいまいちピンと来なかったが。
そう、水。水といえばこの作画よ。飛沫、うねり、ボートにぶつかって割れ、スクリューに巻き込まれ押しやられる水の動き。なんといったらよいのか、良くもまあ描いたものだ。またロープを前ひれでのぼっていったり、ダンディとミャウがボーラのように飛んでいくのといい、本当に見ていて楽しい。転送ライトが電池切れで半分だけ地上に送ってしまい、半透明な船が二つできるというのは、昔どこかで見たような気がするが。
しかし終わってみれば初っ端の料理のシーンに出てくる焼き魚を巡り巡って結局食べるという、本当に回りくどい話だった。