スペース☆ダンディ第五話

「あたし、急いで大人になる。もう、全速力で!」

 

制作陣の豪華さや、カートゥーン・ネットワークでの放映といったニュースのおかげで一部で話題になり、放送直後はその方向性への賛否が溢れかえったりもしたが知名度自体はどうもいまひとつな、スペースダンディの第五話。言ってしまえば半ばこれの感想を書く場所を求めてこのブログを始めたようなものである。

このアニメの特徴は「一話完結」である。まあ今後前後編や過去話の続きをやる事もあると思うが、基本的に一話で終わる。生半可な終わりではない。高橋葉介の「学校怪談」よろしく、主人公が死んだりする。本当に話が終わるのだ。そして、次回予告では平然と生き返っている。

素晴らしい。僕はこういう、漫画の短編集じみた物語構成が大好きだ。

また、音楽の使い方や作画の力の入り方も凄く、正直映像と音楽の調和だけで楽しい。

だが、人にお勧めできない。好きな僕から見たって、最近のアニメとは違った意味で尖ってる事ぐらいわかる。土台、これまでの話を見るにこのアニメのジャンルはギャグなんである。SFコメディーなんである。壮大なストーリーや、息もつかせぬアクション、そして悲劇。これらと違い、喜劇は難しいのだ。ある個人にとっての傑作が、他の個人にとっては凡作どころか塵芥扱いされることも珍しくないのである。

結果、僕は孤立した。面白いと思ってもそれを書く場所がない。言う相手がいない。何が面白かったのかを語り合ったり、文章化して、自分自身が現実世界で観測してみなければ、曖昧模糊な「漠然とした面白さ」はそのまま思考の海に飲み込まれ見えなくなる。これは問題だ。そういう次第で、せめて書き残すため。あわよくば誰かの目に触れるため。ブログを作ろうと思い立ったのである。

 

話を戻そう。五話の感想だ。

構造は至極単純である。迷子の親探し。展開も極めてベタで、特別な子供、その子供を狙う大人、そして善意をひょうきんさに隠した二枚目半。実に王道。

毎度の事ながら映像が素晴らしい。もちろん音楽も素晴らしい。画面が楽しい。アデリーが銀河鉄道の窓から満天の星を見るシーンは本当に綺麗だ。

そんな中でも、今回の最たるものは演出であろう。これまでも演出には何度もニヤリとさせられたり、唸らされたが、何よりもセリフを使わずにシーンシーンを流す手法は流れるBGMとの相乗効果が凄まじく、Aパートの時点でもう既に遠からず訪れる二人の別れを想像して辛くなるほど感情移入してしまった。目玉焼きや冷凍ミカンを使った細やかな演出も素晴らしい。

二人のすれ違いも、その後の和解も、全編を通して両者が何を考えどんな感情が生まれたかを非常に丁寧に描いているので、見ている人間の感情移入を阻害しない。これは前の話の積み立てがない三十分アニメとしては驚異的な事だ。

終わり方もまさに「王道」という他なく、「王道」「ベタ」の魅力を存分に引き出しつつ、しかしそれだけで終わらせない制作陣のセンス、実力には脱帽である。彼女がゲストキャラだというのが残念でならないがしかし! ここは自らを戒めておかねばなるまい。ここで別れるから良いのだと。今後も出てきてほしいという感情は勿論あるが。

 

そういえば今回は第七艦隊が一切出てこなかったが、この話の裏では相変わらずダンディを探し回ってペリー提督に爆破されてるのだろうなと思って一人ニヤつく事が出来るのもこれまでの積み重ねの成せる技であろう。

 

 

後、しょうもない話だがアデリーの服のデザインがツボ過ぎて辛い。スーパーストリートファイター4のイブキ的な。ダボついてる服から細い手足が出ているところとか、手も足もほとんど肌を見せてないくせに大胆すぎるほど背中を見せているところとか。

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