ローリング☆ガールズ 第四話

「爆弾は悪匠製。ちょっとしたイタズラグッズとして発注したところ、サービスで爆弾に仕様変更されていたそうです」

 

オールウェイズコミマ回後編。色々と、予想外の展開が起きたが、まず最初にこれだけは言わせてほしい。

EDでやったような内容を本編でやれよ! みんなでワイワイ旅をする、ロードムービーの鉄板をどうしてそういう形で流すんだよ! 最悪、こんな風に曲とダイジェストで済ませてしまうにしても、もうちょっとうまいやり方あるだろ。「スペース☆ダンディ」の第5話を見習っていただきたい。

流石に今回は色々と、問題だ。ダメだ! いや、作品としての破綻ではないのかもしれない。ダメじゃないかもしれない。だが、僕は見ていて嫌だった! まずは頑なに「望みを叶える」事に固執する望未と、千綾にとっての「望み」の関係についてだ。これは明らかに乖離していた。千綾にとって月明かりの石がさほど重要なものではないのは4話を見れば明らかだ。ここではそのギャップが表面化している。揺り戻しを起こさせる絶好のポイントだったはずだ。だというのになんだこれは。3話と4話で散々望未をエゴ的に描いておいて、何故千綾が石を手放すシーンで無反応なんだ? なんのための演出だよ! 「まーちゃんならあきらめないよ!」と、それこそまさにエゴと化した願望で団員を危険に晒した、この状況でのお手本のような人物まで引き合いに出しておいて、何故いざ出くわした予想外の現実に対してリアクションを起こさない!? 真茶未のモサとしての力が石に由来していることにショックを受けたのかとも思ったが、「ピンとこない」との発言からその線は今のところ薄い。ならばここは新団長への石の贈呈を申し出た千綾に食って掛かるなりなんなりしなきゃダメだろう。そして他でもない千綾に諭されるとか、そういう出来事を経る所じゃないのか。

次に、千綾の涙ながらの発言。これは言い争いの前に入れるべきだろう。そうしてこそ、彼女たちの前に立ちふさがる困難への現実的回答であり、同時に別の形の逃避でもある「今は逃げる。強くなって戻ってくる」という逢衣の発言と、理想論でしかない、しかし「初めての依頼人」に多大な価値を置く望未の発言の釣り合いが取れるというものだ。この発言を後回しにしたおかげで、望未はただの頭お花畑ちゃんにしか映らない。これは先ほど触れた望未のエゴ的演出だ。それを狙い、そう動かすなら構わない。だが、4話はそういう話になっていない。

後、ここからはもう半ば難癖の域かもしれないが。望未が手に取ったルンバから月明かりの石が出てきたシーン。望未が見落としてガルムが地面から拾っていくという展開にする必要あったのか。望未をこんなところでまで抜けてるように描く必要あるのか? 誰か、コミマのモブが開けたところから持っていくとか、望未を絡めるにしても、もう少し気づきようがない形で表れるとか、そういう感じにしなかった理由はあるのだろうか? モミアゲハンマーズという4人の共通点にしても、バイクに貼られたあんなに小さなステッカーに突然気付くという演出より、千綾からステッカーの存在をアピールさせたほうが自然ではないか?

 

最初に書いたが、確かに予想外の多い話だった。東村山のモブたちがまた出てきたのはとても良い。予想していなかったが、コミマへの怒りは説明されている。出てきて違和感のないキャラクターだ。それに、小坂結季奈のデザイン変更が制作上の都合でなく作中の出来事だと分かったのも一つ安心要素だ。作画も頑張っていた。戦闘シーンは素直に凄いと思う。だが、4話全体として、いくらなんでもネタの使い方が勿体なさすぎる。こんな消化方法は見ていて辛い。もっとやりようがあったはずだ! もっと面白くできたはずだろう、この話は!

ローリング☆ガールズ 第三話

「そんなに心配ならどうして望未を行かせたんですか」「だってさ……そろそろ父親を嫌がる年頃だろ……? ポイント稼いでおかなくちゃと思って……」

 

最初に書いておくと、3話は今までほど楽しくなかった。僕は昨今のオタクとかコミケとか、そういうモンがネタにされてるのを見るのが嫌いだ。それから。ああいう作画の使いまわしはやめろ。

だが、面白くなかったかといわれるとそうでもない。多分このアニメが好きだからそう言っているだけだろうが、別にそれでいいだろう。僕だって楽しむ努力をしないわけじゃない。

面白みを感じたのはあの石である。「月明かりの石」「コア」「ヒロイックガーネット」あと聞き取れなかったが双塔の騎士団での呼称と、各地さまざまな名前で呼ばれているハート型の石(声を大にして言うほどでは無いが、この名称のばらつきも面白い要素だと言っていいだろう。突然何の説明もなく石が降ってきて、しかもそれが自分に力を授けたとしたら。そりゃ多少トンチキでカッコイイ名前ぐらいつけるだろう。各々が勝手気ままに。妙なリアリティだ)は人の欲望を強化するのではないか? 宇徳 真茶未は「(森友望未を)守りたい」という欲望が逆に望未を傷つけるほど大きく、執行玖仁子は正義の味方になるために東京へやってきたが「強くなりたい」あるいは「武器を集めたい」という欲望に飲み込まれてしまった。これは今回出てきたサンダーロードの行動を見て思った事だ。自分の過失かも知れないと考え付いておきながら、自分が欲しいために石を売るという選択。ここがどうにも怪しい。彼女の欲求が何かに突き動かされていたと考えれば辻褄は合う。

と、ここまで書いていて別の事も考え始めた。全然そんな事情はなく、ただ単にコスプレ自警団の団長がそういう人間だったとしたら、どうだろう。実に……リアルだ。それも嫌な方向にリアルなキャラクター造形だ。あれ、それはそれで面白いじゃないか?

あとは面白みと言うほどでもないが、いくつか露骨に何らかの展開への布石がされているのでそこをどう回収するか、気になるところではある。話を聞いている限り狂言でしかなさそうなダイナマイトボンバーズ、カウントダウンカレンダーでも流れていた鼻歌、ちーちゃんと呼ばれてワンテンポ遅れる千綾。この辺だ。

ローリング☆ガールズ 第二話

「やりなおそう、執行さん!」「ウ…ウウ……」「無茶を言うな! 十年越しの自己矛盾だぞ!」

 

「人にやさしく」ってOPテーマだったのか。EDで十分嵌ってた分違和感はあるが、まあそのうち慣れるだろう。

この作品、ノリや掛け合いが非常に好ましい。サイドカー付きのバイクが柵を飛び越えたりゲロがビームになったりする思いっきり頭悪い流れとか、ジェットコースターから振り落とされても「いつも吹っ飛ばされてるから」大丈夫、という説得力とか。ひたすら助言が裏目に出る天丼とか。言及しにくいなこれ。平たく言えば僕が好きな空気だ! という事に尽きるが。

というか、今回第二話は展開全部が笑い所みたいなつくり方をしているから、ツボとずれてる人には多分何一つ楽しめない、ただただ白けさせられるスベり倒しの糞アニメとしか思えないだろう。まあギャグは仕方ないな。

そしてこれ、書いていて今気が付いたんだが、展開より小ネタに目が行ってしまって僕のブログの書き方だとなんとも感想を語りにくい。このネタがどうこうあのネタがどうこうと笑い所を書くのは流石に寒すぎるし、どうしたものか。困ったものだ。

 

笑えた、楽しかった、と。とりあえずそれだけ書いておこう。

ローリング☆ガールズ 第一話

「十あまりの道州から再び分割再編された旧都府県は、なんやかんやで独立し! それぞれが、勝手気ままに、ご当地色を強めながら、内向きに、圧倒的発展を遂げていった!」

 

WIT STUDIOオリジナルアニメーション「ローリングガールズ」。なんの前情報もなくニコニコ動画で公開されたばかりの第一話を見て、一瞬で心を奪われた。

僕の心が喝采をあげている。「フリクリ」「京騒戯画 第一弾」「スペースダンディ」の系譜! 馬鹿を、やりきるというすばらしさ! まあ似た匂いを感じていたものの僕の期待していた方向とはまったく逆側にフルスロットルで吹っ飛んでいった「サムライフラメンコ」という例があるからまだ油断は出来ないが、少なくともこの第一話は三回見てもまだ笑える。

「やりきる」というのが、創作物にとっては非常に重要なのだ。言ってしまうと、その方向性自体は別にシリアスでも恋愛でもカッコよさでもKAWAIIでもギャグでもアナーキーでも変態性でもなんでもいい。なんでもいいが、それをやりきってほしい。中途半端にやられると僕は見ていられなくなってしまうのだ(突然素に戻るという現象すら笑いに落とし込めるなら別だが)。そのあたりが、「キルラキル」の視聴を断念した理由でもある。あのアニメには隠しきれないほどに作っている人間の照れがあった。馬鹿になりきれない硬さがあった。

音楽のセンスがまた良い。挿入されるBGMもそうだし、なによりなぜ挿入歌とかEDをブルーハーツにしたんだ。ARBをぶちかました「輪るピングドラム」を思い出させる。この辺もまた僕の「よくわかんねーけどかっこえー!」という感情をむんむん刺激してくれる。

 

このアニメが世間でどう評価されるかは知らないし、今後僕の評価が一変しない保障はまったくないが、第一話は間違いなく面白い。大好きだ。

スペース☆ダンディ第十九話

「あ、そうだ! クラウド星人! お前を捕まえに来たじゃんよ!」(ワハハ) 「捕まえる、この私を? それは雲を掴むような話ですね」(ワハハハハ)

 

今までで一番脈略がなかった。プロレスにもクラウド星人の性質にもスカーレットのハイミスっぷりにも、一切の必然性を感じない。いや、一要素一要素なら別に脈絡やら必然性などなくて一向に構わないのだが、その全てが他の要素と接続されていないため、完全に浮いている。この設定の数々は必要だったのだろうか、という疑問が見ていて沸いてくる。時間を埋めるためだけに用意されたようだった。

十分美人で(個人的には特に髪を下ろしてメガネを外した時)面倒見も悪くなく、仕事もキッチリしていてしかも戦闘能力も高いという、傍目にはかなりパーフェクトなスカーレットにモテない行き遅れをやらせても嫌味というか、見ている人間を置いてけぼりにするだけだと思うのだが、これはただ単に僕が今回の話でノリきれなかったから尚更目についただけかもしれない。全体を通して過剰なほど笑いどころを強調していたので、見ている側としては冷めてしまった。もちろん面白いな、と思うシーンもあるのだが、純粋に楽しめない。

「フルハウス」のような、ドラマ中に突然入ってくる笑い声――今調べたら「ラフトラック」という名前らしい――をフンイキ星人という名前で登場させていた。これがどうにもわからない。無論パロディだろうとは思うのだが、僕は元々からしてこのラフトラックというのが好きではない。笑いどころは僕が勝手に見つけて笑うもので、他人に決めてもらう類のものではない。「笑うだけで面白い人間」は確かに存在するが、そう多くはないのだ。まあとにかく、好きではないからこその困惑といえるかもしれない。製作陣があの類の笑い声が好きでそれをパロディしたのか、それとも嫌いだからあからさまにわかりやすい笑いどころを並べるだけの作品を作って挿入したのか、僕には今回の話がそのどちらかを識別することが出来なかった。

 

うーむ、謎めいた30分だ。わざとつまらなくしてる話なのか、それともただ単につまらないのか。こうやって考えている僕をフンイキ星人に笑ってもらえば、良い落ちになるかもしれない。