スペース☆ダンディ第七話

「そしてシュウマイが弾けた」

 

まったく意味がわからない。BBPとか荷物捨てるときQTまで放り出すとか恋に目覚めたプリンスとか小ネタは面白いものもいくつかあったが、事あるごとにアイキャッチが入って切れてしまうのでテンポ悪いし、やってる事はレッドラインだし、さすがに30分じゃキャラ付け出来なくて上滑りしてるし、正直面白いと言える要素のほうが少ない。

だというのに、最後のインパクトが凄すぎてなんか全体的に面白かったような錯覚に飲み込まれている。

 

第七スペース速度で掘られたオカマ。得体の知れない燃料その他、さまざまな偶然が引き起こした奇跡。

 

なんで弥勒菩薩になってんだよダンディー!

スペース☆ダンディ第六話

「まあ、パンツのが正直きついわな・・・・・・」

 

スペースダンディの第六話。一万年の長きに渡り争ってきたパンツ一丁の博多弁宇宙人と全裸チョッキの山口弁宇宙人。その戦争の地に降り立ったダンディとミャウは、それぞれの陣営に連れ去られてしまうのだが・・・というあらすじ。

あらすじが頭から吹き飛ぶような終わり方だった。確かにサーフボードのネタ振りは開幕早々あったのだが、その後の展開によって脳内からすっかり押し流されており、衛星が二つのミサイルによって爆破するシーンでは「あ、また死亡落ちかな?」などと、先を読んだつもりでいた。うぬぼれもいい所だ。僕の凡庸な発想は制作陣の圧倒的なセンスによって砕け散った。間欠泉も、サーフィンも、更にいうならあの博多弁宇宙人にダンディが捕まったのも、すべてがこのための前振りだったのだ。髪の毛を下ろしたダンディーの華麗なる波乗り。ミャウをボードにひっかけながら、飛沫を受け飛来する無数の岩石を回避し、そして宙へと消えていったあの完成された映像美。あまりにも唐突な挿入歌の強烈に絡み合ったミュージックビデオかプロモーションビデオのワンシーンのようなソレが、二十分の積み立てによってとてつもない面白さを放っていた。

なんというアニメだ。恐ろしい。四話五話六話と、毎度毎度前回の面白さを塗り替えてくる。

勿論、ほかの部分もとても楽しい。そして、その二十分の前振りがあるからこそ、いや違うな。その二十分を前振りにするからこそ、最後の部分を十全に楽しめる。このペース配分は誰の仕事だろう。素晴らしい。これまで見捨てられた恨みを晴らすかのようなQTの念仏もキレてるし、二人の宇宙人が調停間際で決裂するシーンは人間側からも実に共感できるし、その直後のピストルでの撃ち合いは僕にはMASTERキートンに出てきた、FP-45を使った決闘を思い起こさせ、顔が薄気味悪くニヤつくのを抑え切れなかった。衛星が爆破されたシーンのBGMもバッチリだし。はやくサントラを出していただきたい! あのBGM本当に凄いほしい。ずっと聞いていたい。

来週はレース回ということだが、チキチキマシン猛レースになるのかそれとも他の何かになるのか、楽しみでしかたがない。

 

・・・ん? 宇宙人、リーゼント、レース・・・?

REDLINEじゃねーかこれ!!

 

追記:どうやら山口弁じゃなく北九州弁だったらしい。申し訳ない。

スペース☆ダンディ第五話

「あたし、急いで大人になる。もう、全速力で!」

 

制作陣の豪華さや、カートゥーン・ネットワークでの放映といったニュースのおかげで一部で話題になり、放送直後はその方向性への賛否が溢れかえったりもしたが知名度自体はどうもいまひとつな、スペースダンディの第五話。言ってしまえば半ばこれの感想を書く場所を求めてこのブログを始めたようなものである。

このアニメの特徴は「一話完結」である。まあ今後前後編や過去話の続きをやる事もあると思うが、基本的に一話で終わる。生半可な終わりではない。高橋葉介の「学校怪談」よろしく、主人公が死んだりする。本当に話が終わるのだ。そして、次回予告では平然と生き返っている。

素晴らしい。僕はこういう、漫画の短編集じみた物語構成が大好きだ。

また、音楽の使い方や作画の力の入り方も凄く、正直映像と音楽の調和だけで楽しい。

だが、人にお勧めできない。好きな僕から見たって、最近のアニメとは違った意味で尖ってる事ぐらいわかる。土台、これまでの話を見るにこのアニメのジャンルはギャグなんである。SFコメディーなんである。壮大なストーリーや、息もつかせぬアクション、そして悲劇。これらと違い、喜劇は難しいのだ。ある個人にとっての傑作が、他の個人にとっては凡作どころか塵芥扱いされることも珍しくないのである。

結果、僕は孤立した。面白いと思ってもそれを書く場所がない。言う相手がいない。何が面白かったのかを語り合ったり、文章化して、自分自身が現実世界で観測してみなければ、曖昧模糊な「漠然とした面白さ」はそのまま思考の海に飲み込まれ見えなくなる。これは問題だ。そういう次第で、せめて書き残すため。あわよくば誰かの目に触れるため。ブログを作ろうと思い立ったのである。

 

話を戻そう。五話の感想だ。

構造は至極単純である。迷子の親探し。展開も極めてベタで、特別な子供、その子供を狙う大人、そして善意をひょうきんさに隠した二枚目半。実に王道。

毎度の事ながら映像が素晴らしい。もちろん音楽も素晴らしい。画面が楽しい。アデリーが銀河鉄道の窓から満天の星を見るシーンは本当に綺麗だ。

そんな中でも、今回の最たるものは演出であろう。これまでも演出には何度もニヤリとさせられたり、唸らされたが、何よりもセリフを使わずにシーンシーンを流す手法は流れるBGMとの相乗効果が凄まじく、Aパートの時点でもう既に遠からず訪れる二人の別れを想像して辛くなるほど感情移入してしまった。目玉焼きや冷凍ミカンを使った細やかな演出も素晴らしい。

二人のすれ違いも、その後の和解も、全編を通して両者が何を考えどんな感情が生まれたかを非常に丁寧に描いているので、見ている人間の感情移入を阻害しない。これは前の話の積み立てがない三十分アニメとしては驚異的な事だ。

終わり方もまさに「王道」という他なく、「王道」「ベタ」の魅力を存分に引き出しつつ、しかしそれだけで終わらせない制作陣のセンス、実力には脱帽である。彼女がゲストキャラだというのが残念でならないがしかし! ここは自らを戒めておかねばなるまい。ここで別れるから良いのだと。今後も出てきてほしいという感情は勿論あるが。

 

そういえば今回は第七艦隊が一切出てこなかったが、この話の裏では相変わらずダンディを探し回ってペリー提督に爆破されてるのだろうなと思って一人ニヤつく事が出来るのもこれまでの積み重ねの成せる技であろう。

 

 

後、しょうもない話だがアデリーの服のデザインがツボ過ぎて辛い。スーパーストリートファイター4のイブキ的な。ダボついてる服から細い手足が出ているところとか、手も足もほとんど肌を見せてないくせに大胆すぎるほど背中を見せているところとか。