鴨川貴族邸宅の茶飯事 恋する乙女、先斗町通二条上ル

鴨川貴族邸宅の茶飯事―恋する乙女、先斗町通二条上ル (メディアワークス文庫)
著:範乃 秋晴 イラスト:水飛 ラム

「恋に時間は関係ございません。人は一秒もあれば心を奪われるのです」

メディアワークス文庫2012年6月の新刊。『マリシャスクレーム -MALICIOUS CLAIM-』2巻からは1年8ヶ月振り。
京都駅の三省堂にアホみたいな量が置いてあったので気になり、そういやゆずこさんがけなしてたなーと思い出し、借りて来ました。

著者の範乃さんは『マリシャスクレーム』でデビューした後、電撃文庫で『特異点領域の特異点』シリーズを刊行。
どちらも2巻で止まって、今に至る。
イラストの水飛さんは乙女ゲームのキャラデザとかやってるみたいね。

さて、タイトルでの京都小説アピール、表紙のイケメン執事という時点で、およそどういう層を狙っているかが判るわけで。
イケメン執事祭りだったので、少女小説チックな展開かなーと思ったら、そうでもなく。
ジャンルは何と言われると、うーむ。粗筋から感じる印象だと、京都にある執事喫茶に隠された秘密に迫るミステリっぽいんだけど、予想外の方向性に進みます。

そもそも京都、ハナクソ程も関係無ぇ!まだ、街の描写を細かくするなどの演出があるなら、理解出来るんだけど、最初に京都アピールしただけですやん!
これはかえって作品の印象が悪くなる気がするぞ。

『マリシャスクレーム』のときもそうだったけど、一見、普通の世界観と見せかけて、ぶっ飛んだ設定が出て来る。
この世界の日本人女性の八割は理想の男性との出会いを待つばかりで何もしないシンデレラコンプレックスという精神性の病に罹患しているという。
彼女達を治療するには、理想の男性との恋愛を体験させた上で手酷く失恋させ、理想像をぶっ壊す必要がある。
そんな難題を任せられるのは国家執事しかいない……!バカスwwww

でも、実際、イケメン執事達の甘い囁きは読んでいて、きゃあぁああぁああぁあああぁあああぁぁあああああああああってなるな。
俺が女だったら、3分くらいで勘違いする自信があるぜ!<威張るな

連作短編集形式というほど、独立しているわけでもなく、かと言って、長編と呼ぶのにも違和感がある構成。
誰が主役なのかも、よく理解らん。執事見習いの拳正(けんせい)と売れっ子漫画家の衣麻(いお)が主軸のようで、違うようで、そうなようで。どっちなんだよ!
お馬鹿な拳正と敬語キャラの衣麻の取り合わせは個人的に好みなので、この2人が完全にメインだったら、ワンランクアップだったのになーと思う。
一応シリーズ化する方向みたいだからこそなのかもしれんけど、それなら余計に1巻は話の焦点を絞っていけよ……と。

ゆずこさんは序盤の時点で文章がアレだったらしいけど、このレベルでそんなこと言ってたらラノベは読めねぇぜ!
いやしかし、三省堂は何を思って、これを大量に置いているのだろうか……。

燃:B- 萌:B+ 笑:B+ 総:A-

著者リンク
マリシャスクレーム -MALICIOUS CLAIM-(2010/06)
マリシャスクレーム2 -MALICIOUS CLAIM-(2010/10)

メディアワークス文庫

Posted by お亀納豆