羽月莉音の帝国

羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)

著:至道 流星 イラスト:ニノ膳

「いいこと巳継。人間ってのは不思議な生き物なのよ。嘘は真実になるし、真実も嘘になる。社会を維持する最大の原動力は、いつだって幻想なんだから。それは善でも悪でもない。それを忘れず、私たちは私たちの心に忠実でありさえすればいいのよ」

約1ヶ月3週間の積み。ガガガ文庫。タイトルは「はづきりおん」と読みます。著者の至道さんは講談社BOXでデビューした人らしいです。
帯には電撃文庫『狼と香辛料』でお馴染みの支倉さんからの推薦文が。確かにライトノベルにビジネスを持ち込んだというところでは共通してるもんな。

というわけで、ビジネスです。パソコンに多少強い高校生、巳継は従姉妹の莉音の作った革命部に無理矢理所属させられ、最終目標である建国を目指して、東奔西走することになる、という話。

これは目新しさもさることながら、面白かった。
断り切れずに傲岸不遜な美少女に振り回される、いわゆる一つのハルヒパターンです。帯にも「宇宙人未来人超能力者ナシで420億円を稼ぎ出す!?」って書いてあるし。

ノリとしてはMF文庫J『かぐや魔王式!』に近いものがあるが、あちらの革命手法がトンデモハップンなのに対して、こちらはかなり現実的な手段を取っている。現実的というか法律の範囲内に収まっている。株式の話をしているラノベなんて、そうそうないと思うぞ。

拠点を整備するのに、借金300万円を背負うことになった革命部。典型的なパターンだと「借金返すぜ!」→「凄い一発逆転の策を思いついたぜ!」→「ぼろ儲け!」→「諸経費が嵩んで、結局儲けが全然残らなかったよ!」→「オワタ\(^o^)/」っていう流れになるところだが、この作品は早々と借金を返済してしまい、一気に金儲けに話がシフトする。

難しい話が多いが、噛み砕いて説明してくれているので無問題。また、ちゃんとラノベらしくラブコメも忘れない。
つーか、巳継の幼馴染み沙織が不憫過ぎて泣けてくる……。巳継、気付かなさ過ぎだろ……(´・ω・`)
でも莉音は莉音で可愛いんだよなぁ。

というわけで、『羽月莉音の帝国』でした。巻末には会社運営の流れを説明するミニコーナーが。
次は4月。

燃:C 萌:A+ 笑:C+ 総:A

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ガガガ文庫

Posted by お亀納豆