著:吉野 匠 イラスト:上田 夢人
「そういうわけだ。僕はもうこの船に乗ったし、最後までおまえと一緒に乗ってるつもりだ。この件で反論は認めない」
「……タイタニック号みたいに沈んでも?」
「一人で乗ってるなら、泳いででもとっとと逃げる……でも、おまえが逃げないうちは、俺もタイタニック号から降りない……。たとえ、沈んでもだ。いじめられっ子にだって、最後の意地があるのさ」
メガミ文庫三月の新刊。タイトルの「救世主」は「メシア」と読みます。
確か発売日に買ったんではなかったと思う。確か店頭でふと見かけて、粗筋見たら中二病気味の少年達がどうのこうのと書いてあったので、勢いで買ったんじゃないかなぁ。
著者の吉野さんって、そこそこ本出してるとイメージがあったけど、文庫は初めてなのね。
イラストは『戦闘城砦マスラヲ』で御馴染みの上田さん。
そうなんじゃないかとは読む前から思っていたけど、巻頭のお色気ピンナップはイメージ映像です。本当に有り難う御座居ました。
ストーリーは実にベタで、異世界からやって来た美少女を巡る陰謀に巻き込まれる内に主人公の秘密が見えてくる……というもの。
ベタだけど詰まらないわけじゃない。でも、こんなオーソドックスな内容ならメガミから出す必要無いんじゃね?と思うわけです。
例えば、『ナナヲ・チートイツ』は特異過ぎる内容、『なりゆき!しゅがあ☆くらふと』は無さ過ぎる中身の所為で、それぞれメガミでしか出せないという感じがしたが、これはどこのレーベルからでも普通に出せる内容なんだよなぁ。
これをメガミで出しても埋没するだけじゃね?現に続きありそうなのに出てないし。
主人公、雷名(らいな)と大助の友情シーンはアツかったけど、どうしてもメガミでやる内容じゃねーだろwって思ってしまうんだな。
いくら表紙に女の子が出せるなら何でも良いとはいえ……。
そして、一体どの辺が中二病だったんだろう……。雷名が平凡な日常に飽き飽きして刺激的なことを求めている下りとか?
魔法名はかなり中二っぽかったけど。
つーわけで、『今すぐ救世主!』でした。今後、メガミが王道ジャンルに手を伸ばしていく、その第一歩として、こういうのが出て来るならアリだと思うけど、ただぽろっと出て来たんだとすると、アレだなぁ。
燃:B+ 萌:B+ 笑:C+ 総:B+