【ボーダー】魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD【感想/ネタバレ】
著:舞城 王太郎 原作:越前 魔太郎 イラスト:redjuice
「死は唐突だから、更に尊い」
講談社ノベルス2010年9月の新刊。約11年6ヶ月4週間の積み。
いよいよ第一部完結ということで、最後に筆を執るのは企画を主導したと思しき舞城さん。何故か今回だけ著者の名前が表に出ていて、越前魔太郎は原作者ということになっている。
タイトルの法則が少し崩れているのが逆に特別感を演出していて良いね。全然統一感が無くなってしまうブレは嫌いだけど、こういうズラしは好き。
表紙にヴァイオリンに加工された少女ががっつり描かれているのが何とも不気味。確かにこれは魅了される人がいても不思議ではない……と納得させられる不思議な説得力がある。
冥王星Oが受け取った依頼。それは吸血鬼一族の娘を保護してほしいというものだった。一族の屋敷の乗り込んだ彼を待ち受けていたのは魔物達。人と魔物の戦いが繰り広げられる中、冥王星Oは自らの目的のため状況を利用し、か細い生の糸を手繰っていく……。
これまでのタイトルの要素が集合して、ひとつに収束していく統合編……かと思いきや、全然そんなことはなかったんだぜ。アルェー?
怪奇なんだかミステリなんだか何なんだかよく理解らない人間と魔物の抗争がひたすら続く。導入こそ奇異だけど、はは~ん?ここから徐々にこれまでのシリーズとリンクしていくんだな~?と思ったのに……。
人体を材料にした楽器の描写のエグさよ。使用されているパーツをひとつひとつ懇切丁寧に描写するんじゃねぇよ。想像したら吐きそう。見たいような見たくないような……。
統合編ではないにしても第一部クライマックスに相応しい完結くらいは見せてくれるんだろと期待しても、うーん、どうにも肩透かしというか……。ハッピーエンドを期待していたわけじゃないが、もうちょっとこうエンドマークがしっかり打てるような〆方はなかったのかしらん。
総評
そんなわけで電撃文庫、メディアワークス文庫、講談社ノベルスの3つのレーベルを横断して展開された『魔界探偵 冥王星O』これにて第一部完。といってもこの後、1冊も出ていないのでテイのいい打ち切り完結ということなのかな。
全7冊となかなかのボリュームで展開したが、立て続けに刊行されたので足掛け5ヶ月程度。
うほっ、これは良いシェアードワールド!と思って購入したものの、僕が期待していた方向性では全然ありませんでしたね……。
最低限の設定だけを共通項として、各著者が割とやりたい放題に書いちゃった、という印象を受ける。まぁ、そういう方向性の著者ばかりを意図的に集めたのかもしれないけど。
第一部完結と謳っているものの、この後、続きは刊行されていないため、シリーズ継続するほどの売り上げは出なかったということなのか。まぁ、読む人を大分選びますからね……。
燃:C 萌:C 笑:C 総:A-
シリーズリンク
・魔界探偵 冥王星O トイボックスのT(メディアワークス文庫、2010/08)
スポンサーリンク
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません