PHP文芸文庫

書店ガール (PHP文芸文庫)
著:碧野 圭(あおの・けい)

「本屋はちゃんとお店があって、紙の本が並んで、店員とお客様がいるからいいんだわ。本屋は本のショールームだもの。本屋で売っているのが、一番素敵に見えるのだもの」

PHP文芸文庫2012年3月刊行物。
新潮社より刊行された『ブックストア・ウォーズ』を改題+大幅加筆修正した後に文庫化したもの。
何で新潮文庫ではないのか。大人の事情的なアレなのかなぁ。

元バイト先で妙に積まれていたので気になっててなぁ。
これがラノベだったら、タイトルの時点で奇声上げながら即買いするレベルなんだけど、流石に一般小説で、そんな買い方をしていたらキリが無いことは明白なので。
というところで、ゆずこさんが持っているとのことで借りて来ました。

さて、舞台はとある大型書店のチェーン店のひとつ。独身アラフォー副店長、理子と新婚ホヤホヤのアラサー社員、亜紀の奮闘を描く。

先に言っておくと、間違ってもタイトルから感じられるような、うふふきゃっきゃした内容ではない。
どう考えても改題前の方が内容に合ってる。いや、売れそうなタイトルは改題後だというのは理解出来るが。ガール要素、微塵も無いけどな!
はいはい、女性は何歳になってもガールなんですよねワロスワロス
女子ですドヤッみたいな感じは、どーかと思うの。

ダブル主人公制で、理子と亜紀、2人の視点で話は進むんだけど、これが人間の負の側面が出るわ出るわ。
会社内での、しょうもない足の引っ張り合いとか読んでると、ただでさえゼロな労働意欲がマイナスに落ち込むわ。

最初の70ページくらいは延々職場での女性同士のギスギスしたエピソードということで、この段階で折れる人も多いのではないかと思われる。
どう考えても、構成ミスってるだろ……。タイトルがタイトルなんだから、最初に書店ならではのエピソード入れとけよ……。
最後まで、醜い女の争いシーンばっかりかと思ってハラハラしたわ。

中盤からは、徐々に理子と亜紀がお互いの立場を知り、歩み寄っていく展開に。書店らしいエピソードも入ってきて、一気に盛り上がって来る。鬱要素が多いのは、そのままだけど。

書店だけでなく、版元の事情等にも触れられてるんだけど、こういうのを読んでると、あくまでも本は、今の俺みたいにゲヘゲヘ言いながら趣味で感想ブログを更新してる方が幸せかなーとも思う。

半年を条件に、売上増加を目指して大奮闘する理子達。その頑張りは実り、記録的な売上を達成するが、店舗閉店の決定を覆すには至らなかった。
おいおい、そりゃそんなご都合展開にならないのは理解ってるけど、エンターテイメントを謳っている割には苦いオチだな……。

全体的には面白いと思えるだけに、しょうもないとこが引っ掛かるというか何というか。
次は2013年3月に2巻『最強のふたり』。

燃:A- 萌:C 笑:C 総:A

シリーズリンク
書店ガール2 最強のふたり(2013/03)