著:越前 魔太郎 イラスト:redjuice
「例のヴァイオリンのことをかんがえると、俺は自分のなかに、絶大な愛の存在を感じるのさ。ほかのあらゆるもんを破壊し、燃やしつくすほどの愛だ。気のせいでもなければ、まぼろしでもない。やっぱり俺のなかには、愛ってやつが、あったんだとおもう。これは、それとも、うすぎたない欲望なのか?別の感情なのか?そうかもしれない。だが、やっぱり俺は、これを、愛ってやつだとおもうんだ」
講談社ノベルス2010年4月の新刊。講談社ノベルスと電撃文庫のコラボ企画『魔界探偵 冥王星O』シリーズが始動。覆面作家、越前魔太郎が脅威の刊行スピードでシリーズを展開していく。
この経験を活かして、講談社はラノベレーベルを立ち上げるのだろうか。
越前魔太郎とはこの夏公開予定の映画『NECK』に登場する架空の作家……らしい。
その正体は最初、舞城さんって言われていたから興味無かったんだけど、実は名前を出したらもっと売れるであろう作家さん6名がそれぞれ執筆をしているということを知り、興味が湧いて電撃文庫の方の『ウォーキングのW』と一緒に買ってきました。
講談社ノベルスを買うのは生まれて初めてです。
さて、読む前はちょっと不思議要素の入ったミステリーかな、くらいに思っていたのですが、ガチで不思議要素だらけだった件。加えてグロ。
プロローグから、いきなり人体を加工した楽器で演奏会ですからね。ご飯食べた直後とかに読んだら悲惨w
エロい意味じゃなくて、ガチで女体楽器ですよ。
美しい少女から作られたヴァイオリンに見せられたフリーライターの「俺」は不可思議な殺人事件を追う内に、魔界探偵、冥王星Oと出会い、人を超えた存在である【彼ら】を知ることになる。
普段の俺の頭って、完全にラノベ脳になってるから、展開に結構意表を突かれるのよね。さくっと冥王星Oが死んだりすると。「俺」が冥王星Oの名前を継ぐってのが想像がついたけど、何だか『キノの旅』みたいですね。
平仮名の使い方が印象的。そんな簡単な漢字を使わないの?って思うところが多い。どういう意図があるんだろう。
何にせよ普段、こういう殺伐としたテンションの話を読まないので、新鮮で楽しめました。
執筆者は乙一さんという噂。確かめようがねぇけども。
次は4月、電撃文庫の『ウォーキングのW』。カバーや帯に今後のシリーズ刊行予定が書いてあるんだけど、何で偶数月だけの発売なんだろうか。1月に2冊以上出すより毎月1冊ずつ出した方が良いと思うんだが。それとも同月に出たものは関連性が深い、とかだろうか。
燃:B- 萌:C 笑:C 総:A-
キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))