半熟作家と“文学少女”な編集者
ワンパターンも極めれば王道だ。
わかりきった同じようなストーリーで、読者を引き込み、買いたくないのに買ってしまった、悔しいっ、でも感じちゃう、と身悶えさせてこそ一流の作家というものだ。
2011年4月の新刊。約3ヶ月4週間の積み。4ヶ月振りの新刊。シリーズ通算16冊目にして、本当の最終巻。タイトルの「編集者」は「ミューズ」と読みます。
主人公はポスト井上ミウと呼ばれるイケメン高校生作家、雀宮快斗(すずめのみや・かいと)。彼と編集者として、ある程度経験を積んだ遠子先輩の連作短編集。
読むまで、心葉と遠子先輩とのイチャラブ話だと思っていたのは俺だけではない筈だ。つーか違うのかよ!
心葉は存在が語られるだけで、1ページたりとも出番が無かったワナ。
基本的には反町と森ちゃんシリーズみたいなノリ。要はラブコメ。『挿話集』から独立しているのは最終巻としての座りを良くするためだそうで。
遠子先輩に親身になって世話を焼かれる内に、快斗は当然のごとく、遠子先輩のことが好きになっちゃうんだけど、遠子先輩は心葉と結婚しちゃうんだよなあ。ああ、切ねぇ……。
というか、快斗が心葉の存在を知るまでの有頂天っぷりが読んでいて可哀想になってくるぜ……。
って、これ面白いな。快斗の家族関係とか設定だけ開示して一切触れてないけど、きっと色々ネタが考えてあるんじゃないかと思うんだが。
うーむ、シリーズ化してもらえんものだろうか……。
そして最後には快斗の思い出のお姉さんが菜乃であることが判明して終了する。いや、確かに姫倉先輩に絶対良い女になるって言われたけれども!ここで出て来るのは不意打ち過ぎんだろ……!
最後まで油断ならないキャラだったわ。
総評
ってなわけで、物語を食べちゃうくらい愛しているファミ文庫『“文学少女”』シリーズ、本編『“文学少女”』8冊、短編集『“文学少女”と恋する挿話集』4冊、『“文学少女”見習い』編3冊、『半熟作家と“文学少女”な編集者』1冊の計16冊、これにて完結。
結局、本編が完結してから、本編と同じ冊数だけ外伝とかが出てんだよな。
放課後の部室に先輩と2人きりで部活動というシチュ萌えな作品かと思いきや、心理描写にがっつり切り込んで、時にはビタースウィートどころではないシリアスな話も描いて、ラノベ界のオンリーワンな存在になった本作。
個人的には『挿話集』に載っているくらいの、ある程度軽めのノリの方が好きだったのだが、まさかこんなに人気シリーズになるとはな……。
1巻出た当時は文芸部おいしいです(^q^)って思って買っただけだったのに。
次は2011年5月に新シリーズ『“葵” ヒカルが地球にいたころ……①』、8月に『“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……②』。
燃:C 萌:A+ 笑:B+ 総:A+
シリーズリンク
・“文学少女”と恋する挿話集 <4>(2010/12)
・“文学少女”&ヒカル Premium Gift Book “文学少女”の後輩な僕が幽霊だったころ……
著者リンク
・“葵” ヒカルが地球にいたころ……①(2011/05)
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