学校の階段の踊り場 <2>

学校の階段の踊り場2 (ファミ通文庫)
著:櫂末 高彰 イラスト:甘福 あまね

「か、カンバさんって、何者なんですかっ?」
「それは、哲学的な質問だな……」
「僕はね━━」
「『後継者』神庭幸宏。まだわかってないけれど、先輩から受け継いで、それを追い求めるもの。今は、そんな感じかな」

約5ヶ月3週間半の積み。1年3ヶ月振りの新刊。『踊り場』は1年4ヶ月振り。完結後、全然新シリーズ始動の気配も無いし、一体櫂末さんはどうなったんだと思っていたら、まさかの短編集第2弾が登場です。
『エンドレスフォー』を読み逃しちゃったから実に嬉しい。
表紙は本編最終巻の最後にちょろっと出ていた井筒の妹、奈美。

絵師紹介で知ったんだけど、いつの間にか甘福さんって出産してたのね。しかも双子。だから、角川スニーカー文庫『操り世界のエトランジェ』の挿絵は途中で降りたのかな。

『年越しの階段』

確か、この本の発売を記念してFBonlineに掲載された短編じゃなかったか。
タイトル通り年越しの階段レースの話です。

いつもの階段レースを違った場所でというところがミソなんだが、階段レースだけだとやはり盛り上がりに欠けるな。

『恋愛とチョコレート』

FBonline掲載。こちらも判り易いタイトルの通り、バレンタインのエピソード。三島さんが主人公です。
結局、幸宏は本編で誰も選ばなかったけど、ライバルは増えるばかりだなぁ。合掌。

『チョコレートと恋愛』

書き下ろし。上述のエピソードを御神楽さん視点で描いたもの。この構成は面白いが、幸宏の罪作りっぷりが更に際立つ結果にw

生徒会役員はもっと掘り下げる機会があれば良かったのになぁ。

『エンドレスフォー』

FBonline掲載。中村さんの一人称でお送りします。受験勉強大詰め、刈谷先輩、九重元部長、遊佐元生徒会長、中村さんの恋愛模様を描く。
最後まで遊佐が引っ掻き回すが、結局現状維持に落ち着くことに。

どうせなら決着まで読みたかったが。まぁ、結果は見えてると言えば見えてるんだが。

『予兆』

書き下ろし。井筒の妹、奈美と階段部の出会い。幸宏、格好良くなり過ぎワロタ
対して、泉先輩は意識してるのか無意識なのか九重部長っぽくなってる。それはそれで可愛いんじゃないかという気もする。

新たなる物語のプロローグエピソードって感じがぶりぶりするんだけど、櫂末さんとしてはどこまで先を考えてるのかな。

取り敢えず、リア充井筒は爆発しろ!

まとめ

キャラクター数が多いから、どうしてもあっちを立てれば、こっちが立たない状態になるよなぁ。神庭4姉妹の出番はほぼ無しという悲惨なことに。
まぁ、美冬姉さんなんかは1巻の方で目立ってたからなぁ。

総評

そういうわけで、ファミ通文庫、ビバ青春の無駄足!な『学校の階段』本編全10巻、短編集『学校の階段の踊り場』全2巻、計12巻、これにて完結……か?

メインテーマである筈の階段レースをしていないときこそが真骨頂の本シリーズ。幸宏が生徒会長に立候補した辺りからの熱血青春展開には目を見張るものがあったよな。

惜しむらくは折角、魅力的なヒロインがいっぱい居たんだから、もっとLOVEに寄せても良かったと思うんだ。井筒や三枝先輩周りは割と寄せていた気もするが、肝心要の幸宏周りが今一つ。
まぁ、何があろうと美冬姉さん一択なんですけどね!

櫂末さんが言っていた「思わぬ形で美冬姉さんとの再会があるかも?」ってのはどういうフリなんだ?
再会っつーか、コミカライズはまだ進行中だけども。

次は2011年4月に新シリーズ『夢魔さっちゃん、お邪魔します。』1巻です。

燃:B 萌:A 笑:B+ 総:A+

シリーズリンク
学校の階段の踊り場(2009/03)
学校の階段 <10>(2009/07)
学校の外階段(2012/03)

ファミ通文庫

Posted by お亀納豆