【小説】文庫版 鵼の碑【感想/ネタバレ】

4065362431

著:京極 夏彦

「世の中は知らないことばかりだから、怖くなったり辛くなったりするけども、大抵のことは大したことじゃないんだよ」

2024年9月の新刊。約3週間の積み。15年3ヶ月振りの新刊。15年!?長いこと出ていない認識はあったけど、15年!?うせやろ……。
『今昔百鬼拾遺 月』から数えても4年振りか。文庫版待ってましたよ。
講談社側でシュリンクされてるの嬉しいね。でなかったらアマゾンの袋の中でくっしゃくしゃになっていたかもしれない。

長い年月が経つ内に表紙デザインがリニューアルされてしまったのが残念。カメラがめちゃくちゃ寄るようになった所為で、おどろおどろしい雰囲気が減衰してしまってるんだよね。あの不気味な表紙がずらっと並んでいるのが本作の魅力のひとつだと思うんだけどな~。
ってか鵼って、こんな女性っぽいビジュアルだったのか。全然そんなイメージ無かったわ。
あ、薔薇十字のロゴが入ってるね。本編でもこのロゴって入るんだな。

今回は約1300ページ。は~~~~このボリューム感が堪んねぇんだよな~~~~~!!!!
あ、分冊版は存在しないんだな。電子書籍が普及してきたから持ち運びたい人は電子版買ってねってことだろうか。

今回の舞台は日光。それぞれの事情で行動する内、役者が少しずつ日光に集まってくる。バラバラだった筈の謎は少しずつ混ざり合っていき……。
ストーリーの構造自体はおおよそいつもの通りなんだが、今回はいわゆるキメラの鵼が題材なだけあって、その点が強調されているね。章構成もそれが意識されているのが面白い。

益田、勝手に名刺に探偵主任って書いてて笑っちゃうな。これくらいの強かさを持つようにしないと駄目なんだろうね、きっと。
登場人物をメモりながら読んでいて良かったな~。何もメモってなかったら絶対途中で訳理解らんことになってたわ……。ただ、前作以前からの関係性もあったりするので、そこまでは憶えとらん……。

今回は過去の事件を紐解くような形になっていて、現在に新たに事件が起こっているというわけではないので、不気味さはあるものの絶望に向けて突き進んでいくような焦燥感は薄いか。
そういう意味ではちょっと物足りなかったか。

解説によると『巷説百物語』と関わる部分もあったようで。全然気付かんかった……。ってか、あっちは途中で読むの止まってるんだよな……。
原子力が絡むストーリーであるため、東日本大震災から時間が経過するまで刊行しづらかったのではという推測を見掛けたが一体どうなんだろうね。

しれっと次回作のタイトルが『幽谷響(やまびこ)の家』と記載されているが、また15年くらい待たないといけないんだろうか……。

燃:A- 萌:B 笑:A 総:A+

シリーズリンク
文庫版 邪魅の雫(2009/06)
文庫版 今昔百鬼拾遺 月(2020/09)

スポンサーリンク









4065362431
文庫版 鵼の碑 (講談社文庫 き 39-19)

講談社文庫

Posted by お亀納豆