【小説】文庫版 今昔百鬼拾遺 月【感想/ネタバレ】

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著:京極 夏彦

「俺には解らねえよ。解らねえがな。そう云うこたァあるんだろ。人の闇は」
思ったよりも深えぞ。

2020年9月の新刊。約1ヶ月2週間の積み。講談社文庫では11年3ヶ月振りの新刊。そうか、『百鬼夜行』は文春文庫からの刊行だったから講談社文庫から本シリーズが出るのは超絶久し振りなんだな。
合本文庫版『ルー=ガルー』2巻からは1年10ヶ月振り。

この本の発売を知ったのが2019年に連続刊行された『今昔百鬼拾遺』3冊だったから、うわぁい、また敦子と美由紀のコンビのお話が読めるんだ!と思ったのに、まさかの合本版だったでござる。ぎゃふん。
1冊にまとめるの早過ぎィ!

そうは言いながらもこれまでのシリーズフォーマットに合わせた表紙で出されるとスルーもし難いんだよなぁ。
新作が出ない間に既刊のカバーがごっそりリニューアルされており張り子にやたらカメラが寄った構図に変化。今回の表紙もその新バージョンに準拠する形になっており、旧版で集めていた俺達はどうすればええんや……(´;ω;`)
こんな立て続けに同じ作品を読むなんてシチュエーション、なかなかないぞ……。

読めば読むほど、美由紀が可愛く思えてくるから困る(困らない)
美由紀と駄菓子屋の軒先で駄弁りたいだけの人生だった……。
一方、美弥子さんははっきりとものを言い、自分の中にしっかりした軸があって、それが間違っていると判ったら修正する柔軟さを持ち合わせた才媛っぷりが素敵。ちょっと苛烈過ぎるかもしれないけども。

どのエピソードも読むのは2回目だからすっと頭に入ってくるかと思ったが、意外とそうでもなかったワナ。
どうも直接登場せずに名前だけが出て来る人達が憶え難いんだよなぁ。油断するとすぐに誰だっけ?となっちゃう。

あれ、どっかに大幅加筆修正って書いてなかったっけ?講談社文庫のフォーマットに合わせて調整はしているんだろうけど、それだけじゃね?3つのエピソードを総括する書き下ろしパートでもあるのかと期待していたんだが、綿矢りささんの解説があるだけだったわ……。

帯にしれっと『文庫版 鵺の碑』近日刊行予定って書いてあんだけど!もう何年も前から近日刊行という話が出ているような……。

燃:A 萌:A 笑:A 総:A+

分冊版リンク
今昔百鬼拾遺 鬼(講談社タイガ、2019/04)
今昔百鬼拾遺 河童(角川文庫、2019/05)
今昔百鬼拾遺 天狗(新潮文庫、2019/07)

シリーズリンク
文庫版 鵼の碑(講談社文庫、2024/09)

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文庫版 今昔百鬼拾遺 月 (講談社文庫)

講談社文庫

Posted by お亀納豆