【小説感想】分冊文庫版 ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔(上)
著:京極 夏彦
「やる前にぐずぐず考えたってイイことはひとつもないって。百パーセント確実な未来予測なんか絶対にできないんだから。不確定要素は確定要素よりずっと多いぜ。だから、どんな状況になったって華麗に対処できる軽やかさの方を大事にしろよ」
良い事言うじゃない。
2011年10月の新刊。約1年5ヶ月3週間の積み。1巻の文庫落ちから隔月刊行。
当時、単行本、ノベルス、文庫、電子書籍の4形態で同時発売という業界初の試みをやっていたらしい。
果たしてどれくらい効果があるものなんだろうな。確かに文庫落ちするまで買うの待とうと思っていて、そのまま忘れてしまうって人もいそうだけどさ。
さて、あの事件から3ヶ月、元の生活に戻った子供達と、戻れなかった大人達。そんな彼等はまたしても不可思議な事件に巻き込まれることに……。
章カウントは1巻から続いているのか。最初、間違えて下巻から読み始めてしまったかと焦りました。表紙デザインも似てるからな……。
今回も子供パートと大人パートが交互に展開されていくが、主人公は交代している。子供パートは前回脇役だった来生律子、大人パートは橡さんがそれぞれメインに。
橡さんは納得の人選だが、律子は予想外。1巻では殆ど存在感無かったのにな……。
かつて家族を皆殺しにした友人の事件を調べる橡さんは不破さんに協力を要請。2人の縁が切れてないの何だかほっこりする。
1巻のときは不破さんってクールってイメージしかなかったんだけど、橡さん視点だと柔らかい雰囲気もあるんだな。あの事件で考え方が変わったのかもしれんけど。
1巻ではさらっと触れられるだけだった友人の事だけど、どうやら2巻では大きな意味を持ってくる様子。今はまだ現在進行形の事件との関わりが判らないが、どこで繋がるのか。
律子が趣味で組み立てているバイク。前回の美緒の実績があるから、最終的に走らせて壁くらいぶち抜くんじゃないの……と思ってしまう。
この世界観、俺達が生きている現代社会とは大分異なる雰囲気なんだけど、鈴木敬太郎が100歳ちょっとだったってことは、そこまで遠い未来の話じゃないんだよなぁ。いやいや、こんな閉鎖的な未来、嫌過ぎるでしょ……。
次は同時発売の下巻、2011年2012年11月に『文庫版 死ねばいいのに』。
燃:C 萌:A- 笑:A- 総:A+
シリーズリンク
・分冊文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼(下)(2011/09)
・分冊文庫版 ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔(下)(2011/10)
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