【ラノベ】攻撃魔術の使えない魔術師 〈ウェステッド村編〉【感想/ネタバレ】
著:絹野 帽子 イラスト:祁島 セロ(けしま)
オレはまだ貴女に何も返せていないんだ。
フェザー文庫2011年11月の新刊。約8年5ヶ月の積み。確か刊行早々、編集部と著者が揉めて2巻以降の執筆がストップして話題になったんだよな。書店から消える前に買っておこうと思って押さえたんだった筈。帯のセンスがあまりにも無くて震える。やる気の無い学生が単位のために嫌々作ったみがすさまじい……。
主人公の大杉健太郎は事故死の末、異世界転生を果たす。転生した先は健太郎が大好きなMMORPGグロリス・ワールドにそっくりな世界で……。
要は流行りのゲームチックな異世界転生チートものです。略称は『コマツな』。やだ、可愛い……。
レーベルがレーベルだけに、どんなとんでもないブツが飛び出してくるのかとヒヤヒヤしていたが、なかなかどうして面白かったぞ。
ユリアという貴族の幼い女の子に転生した健太郎が地道にこの世界の法則を調べていく展開が好みでした。
こちらの世界でお母さんを救うために、ひた隠しにしていた魔術の能力を使うシーンはハートフルでなぁ。
素直に楽しめたので、まだ攻撃魔術が使えないという異質さが強く出る前にこの物語が強制終了というのは何とも勿体無い。今調べたら、編集部と揉めた時点でweb連載も止まっちゃったのね……。
しかもフェザー文庫自体も創刊から僅か半年程で絶命したという……。
1ページ18行という組み方はラノベとしては、やや多め。スニーカー文庫やМF文庫Jが17行だからな。
これはページ数を少なくしてコストを抑えたいという魂胆なんだろうか。
また、口絵は存在せず、その代わりか挿絵がページの下1/3に置かれているページが大量にある。小刻みにイラストが出て来るので児童書のようなリーダビリティの高さはあるが、これは絵師さんがしんどいでしょう。
レーベルの雰囲気的にも金払いが良さそうには見えないし、事実、仕事量の多さで絵師さんと揉めたケースもあった模様。
そういや確か今は亡きスマッシュ文庫もイラストの多さを目玉にしてなかったっけ。あそこも長く続かなかったんだよなぁ。
大手レーベルさんがやっていない以上、そこにはやれない明確な理由があるということなんだろうな。
燃:A- 萌:A- 笑:C+ 総:A
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