【映画／Ｖシネマ】仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド【感想／ネタバレ】

「俺はやっぱり━━こっちで行くぜ！」

まさに原液。

概要

2024/02/02期間限定上映。未だなお根強い人気を誇る平成ライダーシリーズ第４作『仮面ライダー555』の20周年記念を飾るＶシネクスト作品。当時のキャストとスタッフが再結集し、テレビシリーズのその後の物語が紡がれる。

そうか、戦隊の方で20周年作品が続いたのであまり認識無かったけど、ライダーの方では初の20周年作品か。
夏映画『パラダイス・ロスト』を思い出さずにはいられないサブタイですよ。「リゲインド」は「取り戻した」って意味なのか。

東映さんの場合、周年記念作品はキャスト側からのやりたいという希望の声があって初めて動き出すのか。へ～そうなんだ！
勿論キャストの希望ありきなのは理解るが、東映さん側から動き出すんじゃないというのが意外だったかも。

よくよく考えたら、俺が初めて１年間リアルタイムで視たライダー作品が『555』だったわ。そう思うと感慨深いよねぇ。
まさかのPG12指定。攻めたね～。そうか、昔『THE FIRST』や『THE NEXT』がPG12指定だったのか。

映画館周辺でやたらガンダムベースの袋を持っている人を見掛けたが何なんだろう。普段行かない時間帯に行ったからそう感じただけで日常的な風景なのかな。

スタッフ

白倉さんがＰを担当、当時のパイロット監督の田﨑さんに井上御大が脚本とまさに当時の布陣。
クレジットに名前は無かったが、松浦さんもＡＰとして参加している模様。

導入

冒頭にはテレビシリーズや夏映画の映像が少しだけ。木場の姿もちゃんと映ってる……(´；ω；`)
あれから20年、スマートブレインは体制を一新し、オルフェノクの殲滅に向けて動き出していた。一方、人類とオルフェノクの共存を願って、オルフェノクの庇護を続ける者達もいて……。

西洋洗濯舗菊池

言わずと知れた巧達の行動拠点。啓太郎は世界中の洗濯物を真っ白にするため旅に出ており不在。代わって店を任されているのは甥の承太郎。
そうか、啓太郎役の溝呂木賢さんは既に引退されてるのね。とっくに引退している身かと思いきや、22年年末までは活動されてたのか。それなら出てくれそうなもんだが、引退の決意が固かったってことかしら。

菊池２号店

海堂が任された２号店は彼の独断でラーメン屋に改造されていた。しかもそこそこ繁盛している。めちゃくちゃやんけｗ
若いオルフェノクを庇護して、人間を襲う衝動を抑える訓練なんかも行っている様子。それはいいが、衝撃でうっかりオルフェノクに変身しちゃった若手をなってるなってる！ってやる下り、完全にコントなんだよなぁｗ

で、ラーメンぶっかけられて火傷しそうになってるお客さん、高岩さんじゃんｗ登場の仕方がズルいのよｗ
高岩さんはアクターとしては出演しておらず、あくまでもサプライズゲスト止まり。

スマートブレイン

かつてオルフェノクによる社会の支配を目論んでいた大企業は打って変わって、オルフェノクの殲滅を推し進める存在に。
社長を務めるのはかつてラッキークローバーのメンバーだった北崎。この人がオリキャスで登場するのは予想外過ぎる。他の面子は何やかんやで定期的に露出があったけども……。

その正体は政府が用意したアンドロイドであった。そうか、政府が解体寸前だったスマートブレインの枠組みを使ってオルフェノク殲滅に乗り出したってことか。だから方針が真逆になったわけね。
何で北崎をベースにしたのかな。最強のオルフェノクと呼ばれた男が陣頭指揮をとってオルフェノクを滅ぼすという皮肉な構図を狙ったんだとしたら、発案者は相当性格悪いな……ｗ

殲滅部隊には多数のライオトルーパーが所属。スーツ、結構残ってたのか。何やかんやで使ってたから状態が良かったのかしら。
隊員の中に何か見たことのある顔の外人さんいるな……と思ったら『ギーツ』に出演していたトム・コンスタンタインさんじゃねーかｗ
何をさらっと出演してんねん。しかもライオトルーパーにまで変身させてもらっちゃって……！

令和版スマートレディも登場。北崎社長が結構フットワーク軽く現場に出ていたので、あまり存在感は無かったねぇ。

乾巧／仮面ライダーネクストファイズ

数年前に死期を悟り、真理達の前から姿を消した巧はスマートブレインに保護されて、延命処置を施されていた。
薬物の注射と延命装置カプセルの中で眠ることで誤魔化しているって感じか。やさぐれてスマートブレインの尖兵として活動していたみたい。

与えられた装備はファイズドライバーNEXTとファイズフォン20Plusで変身。携帯型だったファイズフォンが20年の時を経てスマホ型に進化してるのめっちゃ順当よね。ただ、そのスマホをベルトに物理的に接続するのは変わってないんだねｗ

ネクストファイズのデザインはどうだろうな～。動いてるのを見たら格好良いなとは思ったけど、マスクに被さっているクリアパーツがちょっと違和感あるかな……。
ファイズエッジとファイズブラスターの両刀は単純に格好良いよな。

アクセルフォームへの変身機能も持っているとは思わなんだ。マスクと胸パーツだけ交換してるっぽい？
加速＋必殺技描写がチカチカしていてアバタロ斬を思い出したわ。

巧が裏切ったと一番激昂していたのが海堂だったのが印象的だった。行方が判っていなかった間はドライなこと言ってたのに。それだけ巧のことを信じてたのかなと思うと辛ぇわ……。

ヒサオ

菊池で働く若きモスキートオルフェノク。現在のデルタギアの使用者だったが、初戦で敗退して死亡。
見ず知らずのお婆ちゃんを助けるためにオルフェノクの力を行使した結果、そのお婆ちゃんが通報しちゃって殲滅部隊にやられるという。何この血も涙も無い展開……。

コウタとケイ

同じく菊池で働くゲッコーオルフェノクとクイナオルフェノク。心の弱さを露呈させてしまって消されるコウタ辛過ぎんか……(´；ω；`)
ケイはエピローグでは割とケロッとしていて新しい恋に生きようとしていたのが割り切りが凄いというかコウタが浮かばれないというか……。

あ、新しいオルフェノクのスーツ、いっぱい作ったな～と思ったら、素体は共通にして頭部と上半身のガワで差別化してるだけでなのか。上手いこと考えてあるな～。
クイナの頭部デザイン、オシャレで好き。

巧と真理

真理は体内のオルフェノクの因子を活性化させられてワイルドキャットオルフェノクとして覚醒してしまう。
オルフェノクの庇護を主張してはいたが、自身がオルフェノクになるのはショックか。『BLACK SUN』でも似たような展開ありましたよね。

絶望した真理は投身自殺を図るもオルフェノクの生命力では死ぬことも出来ず。お互いのドン底を知った巧と真理の気持ちは近付いて。
まさかオルフェノク同士の濡れ場があるとは……。俺達は何を見させられてるんだ感がえげつなかったですね、えぇ。
直後のカットではふたりとも裸だったので、まぁヤったんでしょうなぁ（ゲス顔）

ライダー作品としてはかなり責めた描写だったが、この一連のシーンはキャストとスタッフでしっかり詰めて作ったみたいですね。

草加雅人／仮面ライダーカイザ

何故か生きていた草加は真理に寄り添って菊池で働いていた。何か理解らんけど生きてました、は笑うでしょ。
えっ、草加の変身シーンの描写があるのテレビシリーズ振りなの!?最早懐かしいという感情が湧き起こらないレベルでよく見掛けてるイメージだったが、そうか変身シーンは無かったのか……。

随分と丸くなったなぁという印象だったが、実はスマートブレインから送り込まれたアンドロイドで。これはたまげたなぁ。
正体が判明してからはカイザドライバーとカイザフォンＸＸでネクストカイザに変身。カイザまで強化フォームを貰えるとは。カイザって初の強化か、ひょっとして。

胡桃玲菜／仮面ライダーミューズ

スマートブレイン殲滅部隊の若きリーダー。変身する時に何故か恥じらうのがエロいよねぇ。面白いキャラ付けしてくるじゃん。
ミューズドライバーとミューズフォンで変身。変身ポーズもスタイリッシュで好き。

ミューズのデザインは女性ライダーでありながらアーマーが結構いかついように感じたね。女性ライダーってもっとシュッとした出で立ちであることが多いような。
『555』系ライダー全員に言えることだが、やっぱイクシードチャージの演出がかっちょよいのよ。
新型のドライバーはオルフェノクの因子が無くても変身出来るんかな。それとも少量の因子を注入してるのかな。

巧への気持ちが強過ぎてめちゃくちゃなこともするが、最後は彼の事を思って行動。するんだけど、殺されちゃうんだよなぁ。
直接画面に映ってはいなかったが、あれ、身体を内側から爆散させられてたんだろうな……。グロ……。何でそういう酷いことするのぉ……。

決戦

ボスは北崎が変身したミューズとネクストカイザ。まさかオートバジンに活躍の場があるとは……。こいつ、20年経っても良い仕事すんじゃねーか。
確かテレビシリーズ最終話で大破したよな？もしかして当時機のＡＩを引き継いでたりするんだろうか。

苦戦する巧の元へ旧型のファイズギアを持ってきてくれる承太郎。そうそう、これこれ！『555』と言えば、啓太郎が巧にベルトを渡してくれるシーンだよなぁ！まさかそこまでやってくれるとは……。

最初からネクストファイズに変身していたしキービジュアルもネクストファイズだったので、オリジナルのファイズの出番は無いと思わせておいて、最終決戦で出してくるとか最終回みたいなことするじゃん。
しかも挿入歌で当時のＯＰを持ってくるとか。どうした、ド直球なヒーローものっぽいことしてくるやんけ……最高かよ……(´；ω；`)

蠢くもの

スマートブレインの中で安置されている複数のカプセル。その中で眠っているのは一体誰なのか……。
新たに迎え入れられた社長は何と草加だった。どうやら新たなアンドロイドが投入された模様。無限に続編を匂わせるのやめろやｗｗｗｗ

エンディング

終わってみれば、皆、収まるべきところ収まったという感じ。井上御大のことだからここにきて誰かひとりくらい殺すくらいはやるんじゃないかと思っていたが、意外と既存キャラは誰も死ななかったですね。既に死んでいた人はともかく。

まとめ

ネタバレが飛び交う危険を恐れて初日に観に行くか～くらいの軽いノリだったのに、終わってみれば大満足の周年記念作品でした。『555』の原液を凄い勢いで全身にぶっかけられた気分である。100点満点じゃんこんなの。
これがニチアサの軛から解き離れた井上脚本だ！といった感じで恋愛ドラマっぽい風味も強く感じられましたね。

井上さん脚本特有のその場の盛り上がり重視で設定の整合性なんて関係無ぇよ！という作風だろうと思っていたら、かなり綺麗にテレビシリーズとの整合をとってきたよなぁ。それも一度、草加が雑な復活をしたと見せかけてからのそうじゃないんだよって展開だったので余計に感心してしまった。

およそ１時間という短い尺の中できっちりまとめ上げてきていて良かったねぇ。若手のオルフェノクの関係性や真理の自殺シーンはもうちょっと尺が欲しかったという部分ではあるが、限られた尺の中で最大限のことが出来ていたと思う。

TTFCで配信中の『殺人事件』は完全にパラレルってことかな。どこのタイミングにも入る隙間は無さそうに思うが。

三原役の原田篤さんが出演されなかったのが謎。本人はTwitterで呼ばれたら出るよと言っていたし、CSMデルタギア発売時もインタビューを受けていたのに何でなんだろう。キャスト間の軋轢でもあったんかな。

燃：A+　萌：Ａ　笑：A+　総：Ｓ

配信リンク
・仮面ライダー555殺人事件問題編（2024/01）