【ボーダー】彩雲国秘抄 骸骨を乞う【感想/ネタバレ】
著:雪乃 紗衣 イラスト:由羅 カイリ
『大好きなものがあるなら、いっぱい抱きしめて、笑うだけでいいんだよ。いっぱい名前を呼んで。そしたら、いっぱいなくしても、奪われないものがいっぱい残るんだよ……』
KADOKAWA2012年3月の新刊。約9年10ヶ月の積み。「彩雲国」を冠する最後のタイトルがハードカバーで刊行。
積み過ぎた所為で、既に角川文庫でもビーンズ文庫でも文庫落ちしている。勿論、どっちも持ってるよ!やったー!
タイトルは「官を退くこと、 辞職を願い出ること」の意。あっ、表紙イラストは本編と同じく由羅さんが描いてらっしゃるのか。
勝手に彩雲国の過去を描いた長編だと思っていたんだけど、ところがどっこい本編終盤で重要な役割を果たした人物達の過去と未来を描く連作中編集であった。
そうと知っていれば、こんなに積んだりしなかったものを……。
本編では語り切れなかった重要人物達のルーツにスポットが当てられており、ビーンズ文庫の軛から解き放たれた結果、かーなーりドロドロした感情が渦を巻いている。
単純に正義とも悪とも割り切れない難儀な男達やでぇ。
短くも幸せに溢れた秀麗さんと劉輝の夫婦生活が描かれていたのがとても良かったですね。劉輝が片想いしていた頃みたいに秀麗さんにケツを蹴っ飛ばされるような関係になるかと思いきや、随分と落ち着いた夫婦になったようで。
いや、秀麗さんの身体の問題が無ければ、そうなってたのかもしれんけど。
秀麗さん、退官するまでは官吏殺しなんて物騒な二つ名で呼ばれてたのか。怖過ぎでしょ……。よく謀殺されなかったよな……。
巻末には文庫未収録だった『運命が出会う夜』を収録。こちらは本編に近いノリで書かれているので、他とのテンションの落差が結構デカい。何故この本に入れてしまったのか……。
いや、悠舜達の過去話だから全く無関係というわけではないんだけど、文章の軽重が全然違うんよな……。
刊行順に読むとすると次は文庫版になっちゃうんだが、ここは本編の角川文庫版が完結するまで寝かせて、その後に読んだ方が良い気がするな。
燃:A- 萌:A 笑:A 総:A+
シリーズリンク
・彩雲国物語 紫闇の玉座(下)(2011/07)
文庫化リンク
・角川文庫版 彩雲国秘抄 骸骨を乞う 上(角川文庫、2016/02)
スポンサーリンク
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません