【小説】小説【感想/ネタバレ】
著:野﨑 まど
親の原始的な自尊心や子供の幼い承認欲求よりも遥かに複雑な宇宙人と人間の昇華体。古来より人心を掴んで離さない、人間精神が編み上げる物語の結晶。すなわち小説であった。
講談社ハードカバー2024年11月の新刊。約1週間半の積み。『タイタン』からは4年7ヶ月振り。
久し振りに野﨑さんの新作が登場。これは買わねばなるまい。それにつけても何て検索性の悪いタイトルなんだ……。見付けてもらう気無いんかw
小説が大好きな主人公、内海集司。父の望んだ道を進めなかったことに後ろめたさを覚えながらも友人の外崎真(とのざき・まこと)と共に、偶然出会った小説家の先生の屋敷に入り浸り、蔵書を読み耽る日々を過ごして……。
場面や視点の切り替えがあっても全く行間を空けないつくりはどういう意図なんだろう。意識を途切れさせずに一気に最後まで読んでねってことかしら。行間が無いから文字密度がすんごいの。
読んでも読んでもこれは一体何を読まされているのだろうという不思議な感覚がつきまとう。あ、そういう話なんだって理解出来たのはほんとに最後の最後ってくらいだったな……。
最近の野﨑さんの作風って何かひとつの物事を徹底的に考えて突き詰めて解き明かすって感じに偏ってきてない?
時々思い出したかのように野﨑さんのギャグセンスが顔を出すのが良かったな。あ~野崎さんだわ~って思わされる。
今回は得体の知れなさはあったものの恐怖を覚えるような見せ方ではなかったかなぁ。個人的には背筋がZOKUZOKUするような結末の方が好きなのだが……。
初回封入特典としてショートショートが付いている。ハードカバーでもこういうのあるんだね。漫画やラノベ独特のものかと思ってたわ。
講談社と言えば講談社タイガから出ていた『バビロン』どうなったんだよと思って調べたら、もう7年も刊行が止まっている……。あのまま打ち切りなんて酷過ぎるでしょ……。
燃:C 萌:C 笑:A 総:A+
著者リンク
・[映]アムリタ(メディアワークス文庫、2009/12)
・独創短編シリーズ 野崎まど劇場(電撃文庫、2012/11)
・なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る(2013/04)
・know(ハヤカワ文庫JA、2013/07)
・バビロン Ⅰ -女-(講談社タイガ、2015/10)
・HELLO WORLD(集英社文庫、2019/06)
・タイタン(ハードカバー、2020/04)
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