【ボーダー】薔薇十字叢書 神社姫の森【感想】

薔薇十字叢書 神社姫の森 (富士見L文庫)

著:春日 みかげ イラスト:睦月 ムンク Founder:京極 夏彦

名付けることで、人は安心することができる━━。

富士見L文庫2015年11月の新刊。約3年7ヶ月2週間半の積み。『桜木双葉の世界』からは7ヶ月振り。
『織田信奈の野望』でお馴染みの春日さんが『薔薇十字叢書』に参戦。タイトルの「神社姫」は「くだん」と読みます。

武蔵野連続バラバラ殺人から5年、久保竣皇を名乗る作家が事件の顛末を書いた小説「魍魎の匣」を発表する。
事件の中心にいた人物と酷似した名前を持つ小説家の正体とは……。

粗筋から『魍魎の匣』と『絡新婦の理』と密接に絡んでいそうなことは判るが、いざ読んでみたら本家の要素をこれでもかと取り込んだ内容となっていた。よくこれだけ詰め込んだな……と思うが、その反面、やや詰め込み過ぎになっている部分も。

終盤の薀蓄パートの文字密度があまりにも濃い。ページ数をあまり膨らませられないという事情もあったのかもしれんが、本家でも流石にここまでじゃないだろう、と。
冒頭には本家のように鳥山石燕の妖怪画を載せたりと、本家へのリスペクトが溢れまくっている。

久保竣皇の正体はかなりこじつけ臭いようにも思うのだが、スピンオフという本作の立ち位置を考えると至極納得のいくものでもある。
結局、久保竣皇に寄り添っていた碧さんが何者なのかはよく理解らなかったが……。

それにつけても雪絵さんの聖母っぷりである。
劇中で戦国武将を女体化するという話が登場。『織田信奈の野望』のことやんけ。リスペクトするあまり、自分を投影したキャラを登場させたってことかね。

次は2015年12月に『ようかい菓子舗京極堂』、2017年4月に『風蜘蛛の棘』、5月に『縊鬼の囀』と『蜃の楼』。

燃:A- 萌:B+ 笑:A- 総:A+

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Posted by お亀納豆