【小説】今昔百鬼拾遺 天狗【感想/ネタバレ】
著:京極 夏彦
「男だろうが女だろうがそのいずれでもなかろうが、そんなことは何の関係もない。地位も名誉も何も持っていなくたって、人は独りで立っていられるものですわ。何故なら」
人だからですわと美弥子は云った。
2019年7月の新刊。約1年2ヶ月4週間の積み。『ヒトでなし』からは4ヶ月振り。
シリーズ第3弾。レーベル横断3ヶ月連続刊行キャンペーンのトリを飾るのは『天狗』。霧のかかった山道に佇む天狗面の女学生という絵面のエモさよ。
3冊揃えると表紙の雰囲気がBATSUGUNに良い。掲載雑誌は小説新潮。
さて、今度の事件は若い女性の連続失踪及び殺人事件。またしても謎を追うのは敦子と美由紀。この2人の組み合わせも段々馴染んできましたね。
美由紀があまりにも色んな事件に首を突っ込み過ぎなので段々心配になってくる。主人公の座から降りた途端に死なないだろうな……。
篠村美弥子さんはやたらキャラ立ちしていると思ったら、『百器徒然袋』で登場済だったのか。全く憶えてない……w
自身の中にハッキリした軸を持っている上に、それを随時修正していく柔軟さも持っているのが良いね。
今回の事件は恐ろしいというよりはやりきれないという印象の方が強かったですね。古臭い慣習に縛られる老人、それに逆らえない息子、それに振り回される若者の恋愛事情……という感じで。
やっぱり納得出来ないものに逆らうパワーを持つことが肝要なんですねぇ。
仕事柄、そうならざるを得ないのかもしれんが、犯人と思しき人物の家へ乗り込んで、その場で謎解きを披露する敦子の胆力よ。一歩間違えば、その場で斬り殺されるぞ……。
というわけで立て続けに刊行された外伝シリーズでした。うーん、なかなかどうして敦子と美由紀のコンビも面白いじゃないの。えっ、次は『今昔百鬼拾遺 月』だって?また新エピソードが読めるんだ!やったー!と思ったら、3作をまとめたもの……だと……?
1年ちょいでまとめ本出ちゃうのかよw買いましたけども。
次は2020年10月に『ヒトごろし』上下巻。
燃:C 萌:A- 笑:B+ 総:A+
シリーズリンク
・今昔百鬼拾遺 河童(角川文庫、2019/05)
合本版リンク
・文庫版 今昔百鬼拾遺 月(講談社文庫、2020/09)
著者リンク
・ヒトでなし 金剛界の章(新潮文庫、2019/03)
・文庫版 ヒトごろし(上)(新潮文庫、2020/09)
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