【小説】文庫版 ヒトでなし 金剛界の章【感想/ネタバレ】

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著:京極 夏彦

「価値のねえ奴だって、喰えてるうちは生きてるよ。生きてりゃ立派だ。喰えてるなら、それなりだってことだ」

新潮文庫2019年2月の新刊。約1年5ヶ月2週間の積み。
不慮の事故から娘を亡くした主人公、尾田慎吾。妻とも別れ、当て所もなく彷徨う内に旧友、荻野と再会することに。荻野は慎吾の人間関係を利用して、とある計画を持ち掛けるが……。

タイトルからはどんな話なのかさっぱり理解らないし、読み始めてもどういう話なのかさっぱり理解らない。いや、内容自体が理解らないのではなく、どういう方向へ向かおうとしているのかが最後まで読めなかったというか。

粗筋には「超・宗教エンタテインメント」と書かれていたので、小難しい話かなーと思っていたが、全然そんなことはなくて、むしろ京極さん作品の中では読み易い部類なのではないかとさえ思う。陰々滅々とした内容はいつも通りだけどw

慎吾は自身をヒトでなしと定義し、周囲の人々の考えをバッサリと切り捨てていく。しかし、その切り捨て方が降り切れ過ぎていて逆に感謝されてしまうという、何だか滑稽な展開に。
そこから事態が好転していくかと思いきや、そうはならないところが京極さんなんだよなぁ。

最後の最後にヒトとしての姿を取り戻して回帰するかと思ったけど、別にそんなことはなかったわ。
サブタイで章が付いてるってことは何これ続くの?

燃:C 萌:C 笑:C 総:A

シリーズリンク
文庫版 ヒトごろし(上)(新潮文庫、2020/09)

著者リンク
文庫版 嗤う伊右衛門(角川文庫、2001/11)
文庫版 巷説百物語(角川文庫、2003/06)
文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし(角川文庫、2010/10)
厭な小説 文庫版(祥伝社文庫、2012/09)
角川文庫版 幽談(角川文庫、2013/12)
文庫版 鬼談(角川文庫、2018/02)
分冊文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼(上)(講談社文庫、2011/09)
文庫版 虚言少年(集英社文庫、2014/09)
中公文庫版 オジいサン(中公文庫、2015/02)
文庫版 虚実妖怪百物語 序/破/急(角川文庫、2018/12)
今昔百鬼拾遺 天狗(新潮文庫、2019/07)

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ヒトでなし: 金剛界の章 (新潮文庫)

新潮文庫

Posted by お亀納豆