【小説】文庫版 ヒトごろし(上)【感想/ネタバレ】

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著:京極 夏彦

歳三は━━。
ひとをころしてみたかった。

新潮文庫2020年9月の新刊。約1ヶ月1週間の積み。1年7ヶ月振りの新刊。『今昔百鬼拾遺 天狗』からは1年2ヶ月振り。

幼い頃に死に魅入られた主人公、土方歳三は人を斬り殺したいという欲望に駆られていく。人を斬ることにのみ拘って築いた環境はやがて新選組という大きな時代のうねりとなっていき……。

タイトルのつけ方からすると『ヒトでなし』と同じシリーズとして括るべきなんだと思うけど、繋がりがさっぱり理解らない。
主人公が自分自身を「ヒト〇〇し」と思っているのが共通点ではあるが……。
今回は各章の末尾が必ず土方が名乗って終わるようになっているのか。

新選組っていうと、こう昨今の風潮的にイケメン揃いの剣士集団みたいな認識なんだが、それがガラッと塗り替えられるような内容。
土方は大体人を斬り殺すことしか考えてないし、沖田も似たり寄ったりで。新選組自体も上巻の段階ではかなりどうしようもない集団のように見える。
どの辺まで史実に寄っているのかしら。上巻の段階で調べるとネタバレを踏む可能性があるのでその辺りは下巻を読み終わるまでお預け。

人殺しのシーンでは手首が飛んだり、身体がバッサリいったりしているが、刀ってそんなにスパッといけるもんなのか。
欲望に従って人を殺しても案外冷静な土方。自分はこういう人外(にんがい)なんだと割り切って自身に向き合っているのが凄い。

土方歳三といえば『今昔百鬼拾遺 鬼』でも名前が出てたな~と思ったら、がっつり繋がっとるやないか。
父親の首吊り死体を眺める羽目になった涼さんって、あっちでも名前が出てたよな。

この時代の人って年齢や立場によってコロコロ名前を変えている印象があるが、これってクッソややこしそうだよなぁ。同じ人の事を話しているのに会話が噛み合わないとかなったりせんのかね。
次は同時発売の下巻。

燃:B 萌:C 笑:B 総:A+

シリーズリンク
文庫版 ヒトでなし 金剛界の章(2019/02)
文庫版 ヒトごろし(下)(2020/09)

著者リンク
今昔百鬼拾遺 天狗(2019/07)

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文庫版 ヒトごろし(上) (新潮文庫)

新潮文庫

Posted by お亀納豆