【ボーダー】今昔百鬼拾遺 鬼【感想/ネタバレ】

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著:京極 夏彦

「私は、夢見がちな女学生なんですッ!」

講談社タイガ2019年4月の新刊。約1年4ヶ月1週間の積み。
タイトルから何となく察せられるように『百鬼夜行』シリーズの番外編です。

表紙は、薄暗い駄菓子屋の前で女子生徒が鬼の面を被って佇んでいる、というもの。何とも不気味な絵面でぞわぞわする。
このブレザーの女子生徒、明らかに現代の制服姿だよなぁ。その辺も何か意図があんのかな。

京極堂の妹、敦子が『絡新婦の理』のゲストキャラ美由紀と共に昭和の辻斬り事件の謎を追うことに。
京極堂は一切登場せず、終始敦子視点のシーンで展開される。

この本が出た当時、京極さん史上最薄と話題になったんだっけw
250ページ強しかない。元々はどっかの特設サイトに掲載されていたものみたいですね。

基本的な構成はいつもの百鬼夜行と同じで、それを至極コンパクトにまとめたものといった感じ。
通常は複数のストーリーが並行して進行し、中盤からそれ等が混じり合っていって最後に収束するが、今回は最初から1本道なので判り易い。

百鬼夜行シリーズにお馴染みの小難しい解説も少なく、入門編としては最適なんじゃないでしょうか。この厚さなら表紙に惹かれて買うのもアリでしょう。

美由紀は『薔薇十字叢書』でもピックアップされていたけど、扱い易いポジションなんだろうか。
ラストのブチギレっぷりには圧倒されましたね。いやはや、人間、あれくらい勢いがなくちゃいかんのだろうなぁ。

賀川刑事は凄い人物ではないんだけれども真っ当な善人という感じで好感が持てる。
各章の書き出しを揃える手法、『ヒトでなし』でも見ましたね。『オジいサン』はどうだったかな。

本作は三社横断京極夏彦新刊祭の1冊目となる。この後、角川文庫から『河童』、新潮文庫から『天狗』が刊行される。なんちゅー手間のかかるキャンペーンを打ってるんだ……w

燃:B- 萌:A- 笑:A- 総:A+

シリーズリンク
文庫版 定本 百鬼夜行━陽(文春文庫、2015/01)
今昔百鬼拾遺 河童(角川文庫、2019/05)

合本版リンク
文庫版 今昔百鬼拾遺 月(講談社文庫、2020/09)

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今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

講談社タイガ

Posted by お亀納豆