【小説】老い蜂【感想/ネタバレ】
著:櫛木 理宇(くしき・りう)
「親ってのは、子が生まれた瞬間から大人になるまでそばにいて、見守って、その子自身の言葉を持たせてやることなんじゃないか」
きつい。
東京創元社2021年9月刊行物。約4日の積み。社内報で紹介されていたので気になって買いました。何かビビっときたんですよね。
タイトルは「おいばち」と読みます。
表紙は女性のうなじにタイトルが浮かび上がっているという何とも薄気味悪い構図である。
老人のストーカーという異質な存在に怯える事務員の女性や女子大生。一方、建築士の殺害事件という一見関係の無い要素はやがて1本の線を描いていき……というお話。
序盤、まだそれぞれの要素が繋がり始める前、ストーカーに怯える女性達のシーンがすんげー怖い。胃がキリキリするのなんのって。
いくら80近い老人でも女性からしたら十分脅威であるってのは怖い話だよなぁ。
で、犯人も含めてクズな登場人物が出るわ出るわ。何やねんこいつ等……。こんな奴等の所為で幸せに暮らしていた人達の生活が踏み躙られたんか……って思うと、あー辛い。
殺された本人だけじゃなくて、その遺族の人生までぐちゃぐちゃになってしまうんよな。
犯人達にも歪んでしまう生い立ちがあったってのは理解るけど、知らんがなって話なんですよね……。
最後にほんの一握りの救いがあってホッとしたわ……。最悪、佐坂巡査が若い女性を殺害して、犯人の気持ちを理解して終わるパティーンも頭を過ぎったもんね……。
まぁ、結局クズは死ぬまでクズということでもあったのだが。
宣伝文句はストーカー犯罪を描く衝撃作と書かれているみたいだけど、終わってみればストーカー犯罪は話の中心ではないのでは……。始まりの事件ではあるんだろうけども。
渦巻く悪意の行き着く先が気になってガーッと読んでしまった。ゲームよりも読書を優先したの、随分と久し振りですわ。
燃:C 萌:C 笑:C 総:A+
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