なぞらえ屋秘匿文書 桃と鬼の轍

桃と鬼の轍―なぞらえ屋秘匿文書 (電撃文庫)
著:有里 紅良(ありさと・あから) イラスト:中嶋 敦子

「なぞらえというのはな、お嬢さん。神代の古から綿々と続く、言ってみれば魔法なのさ」

電撃文庫2011年4月の新刊。約1年10ヶ月の積み。
タイトルの「轍」は「わだち」ではなく「てつ」と読む。

著者の有里さんは創作集団ら・むぅんの代表で、大昔に電撃文庫で何冊か本を出していたらしい。
本作は、同名の演劇のノベライズだそうな。
イラストの中嶋さんは基本アニメーターだよなぁ。どういう繋がりで挿絵の仕事を……。
一昔前のラノベの挿絵って感じだよな。

さて、中学時代の友人、麻耶を自殺で失った少女、真沙美はクラスメイトの少年、亮輔の力を借りて、事件の真相に迫ることに。
亮輔は、この世に存在する「轍」を使って、裏の事件を解決するなぞらえ屋の一員だったのだ……というお話。

不思議設定有なことに加えて、事件へのアプローチは、ちゃんと道筋が立てられていて、ちょっと富士ミスっぽいですよね。
絵柄も考慮すると、コバルトっぽいかも。いや、コバルトはあんまり読んだことないけどさぁ。

事件を昔話の構成になぞらえて解決していく展開は面白いな。同レーベル『断章のグリム』が好きな人には合うかも。
まぁ、こっちは人物名なんかが露骨だけどな。

シリーズ化する可能性もあるみたいなことが後書きに書いてあるけど、まぁ、2巻が出てない時点で結果は察してくださいってことだよな……。
そこまで悪くはないんだけど、最初、主人公っぽく登場した真沙美が後半、あまり出番が無かったのがバランス悪かったかな。途中で、亮輔と主人公を交代したと見ることも出来るけど。

燃:B- 萌:C+ 笑:C+ 総:A-

ノベライズ,電撃文庫

Posted by お亀納豆