【ボーダー】十二国記 白銀の墟 玄の月 四巻【感想】
著:小野 不由美 イラスト:山田 章博
━━過去が現在を作る。
ならば、いまが未来を作るのだ━━たとえ繋がりは見えなくても。
負けない逃げない諦めない。
2019年11月の新刊。約5日の積み。三巻と同時刊行。
表紙は阿選。確かに物語上、重要な役割を持っている順に4人を抽出すると、そうなるのかもしれんけど、最後の1冊の表紙がこいつとは……。
さて、遂に地上へと帰還した驍宗。王を戴いて、大逆転勝利!これで勝つる!と思いきや、そう簡単には問屋が卸さなくて……。
阿選が汚れ仕事を任せていた赫甲達の残虐さは留まるところを知らず。殲滅せよと命じられたとはいえ、あまりにも惨過ぎる。てめぇの血は何色だ案件ですよこれは……。
驍宗とその麾下達が再会するシーンは流石に目頭が熱くなりましたね。王さえ戻れば何とかなると思ったけど、執拗に驍宗を潰そうとする阿選の猛威はそう簡単には打ち破れない。
頼もしい仲間達が次々と散っていく展開に目を覆いたくなるような絶望感が押し寄せてくる。また死に方がえぐいんだよなぁ。
あまりにも絶望のズンドコに突き落としてくるから、まさかの全滅エンドじゃなかろうかと不安になったわ……。
最後は実は癒えていた泰麒が麒麟の姿になったことで決着。驍宗と阿選の決着そのものが描写されることなく物語は幕を閉じた。これ以上を語るのは無粋ってことなのかしら。
結局、琅燦の狙いは判らず仕舞いか。泰麒は敵じゃないって言ってたけど、そもそも阿選を唆したのは琅燦なんだよなぁ。かといって今の泰麒が根拠も無く琅燦を敵じゃないと言い切るのも違和感がある。うーむ。
そんなわけで4冊に渡る大長編、ここに完結。消えた王の帰還を待ち望んだ戴の民と、新刊を待ち続けた読者の気持ちが図らずもシンクロするのエモいな……。
園糸のシーンで始まり、園糸のシーンで終わる構成の美しさが心憎い。
4冊も一気に出すから、これが『十二国記』の本編最終巻じゃい!くらいのテンションなのかと思いきや、ラストエピソード感ゼロでワロタ
次の長編まで、また暫く時間が掛かるのかな……。今回は特に目立った引きもなく終わっているが、読者の皆は続刊を待っていてくれるだろうか……。
最後に後書きではなく解説を収録。それで思い出したが、芳って仮王が治めてるんだったな。あちらもまだ何かドラマが用意されてるのかしら。
次は2020年に短編集が出るらしいけど、本当かな……?
燃:A+ 萌:C 笑:C 総:A+
シリーズリンク
・十二国記 白銀の墟 玄の月 三巻(2019/11)
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新潮社 (2019-11-09)
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