【小説】新潮文庫版 キケン【感想/ネタバレ】

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著:有川 浩 イラスト:徒花 スクモ

━━限界までやっとけよ。祭の主役でいられるうちに。

新潮文庫2013年6月の新刊。約6年9ヶ月3週間の積み。詰み過ぎて埃っぽくなってたわw
『文庫版 レインツリーの国』からは4年振り。
イラストの徒花さんとは『図書館戦争』以来、2度目のタッグかな?

成南電気工科大学の機械制御研究部、通称キケンに所属する若者達の破天荒な活躍を描く青春小説。いわゆる部活ものというやつですね。
小説新潮連載作品で短編集形式となっている。

パッケージングだけ見ると理系に寄った内容で、とっつき難さがないでもないのだが、読み始めてみると流石のリーダビリティで。

上回生に振り回されながら、違法スレスレのことにも手を付けて大暴れ。フィクションとして読んでいる分には楽しいが、絶対自分は当事者になりたくないタイプのストーリーだわ……w
仕事でも絶対嫌だぞ。

死ぬほどの忙しさに目を回していることが後から振り返ってみれば楽しいことだったと気付くって、こういう人種がいるからブラック企業が無くならないのでは……と思わないでもない。

それはさておき、そこまで機械制御に突っ込んだ話をしているわけではなく、大学のサークルでバカをやるという要素が前面に出ているので、予備知識が一切無くても楽しめるようになっている。

そうだよなぁ、本来理系学科って、こういう放っておいても自分達で勝手に何かを作り出すような奴等が通うべきところなんだよなぁ。
俺みたいに惰性で流されるままに行くべき場所じゃなかったんだよなぁ。サークル活動は最高に楽しかったのが救いだけども……。

数年が経過して、所帯も持った卒業生が過去を振り返る視点となっているのが、郷愁を誘うような作りとなっていて切ない。
で、切なさを掻き立てておいて、最後の黒板ですよ。章毎の扉絵漫画もラノベっぽかったが、ここでもラノベっぽさで上手く不意打ってくるとは……してやられたぜ。涙腺をばっこりやられたわ……。上野参上!じゃねーんだよ……(´;ω;`)

アクの強いキャラ達が沢山いるんだし、シリーズ化しても良さそうなものだが、小説新潮のメインユーザーにはあまり評判良くなかったのかしらね。
ただ、2017年1月に角川文庫から刊行し直されている。この一般文庫界隈の一度文庫化されたものが他社からも再刊行されるという流れ、どういう仕組みなんだろか……。

次は2013年9月に『ヒア・カムズ・ザ・サン』、2014年6月に『三匹のおっさん』、2015年1月に『三匹のおっさん、ふたたび』

燃:A 萌:A 笑:A 総:A+

著者リンク
レインツリーの国(ハードカバー、2006/09)
文庫版 空の中(角川文庫、2008/06)
三匹のおっさん(ハードカバー、2009/03)
シアター!(メディアワークス文庫、2009/12)
文庫版 阪急電車(幻冬舎文庫、2010/08)
文庫版 ラブコメ今昔(角川文庫、2012/06)
文庫版 フリーター、家を買う。(幻冬舎文庫、2012/08)
文庫版 植物図鑑(幻冬舎文庫、2013/01)
文庫版 県庁おもてなし課(角川文庫、2013/04)
新潮文庫版 ヒア・カムズ・ザ・サン(新潮文庫、2013/09)
文庫版 ストーリー・セラー(幻冬舎文庫、2015/12)
文庫版 空飛ぶ広報室(幻冬舎文庫、2016/04)
文庫版 旅猫リポート(講談社文庫、2017/02)
文庫版 キャロリング(幻冬舎文庫、2017/12)
文庫版 明日の子供たち(幻冬舎文庫、2018/04)
文庫版 アンマーとぼくら(講談社文庫、2020/08)
文庫版 イマジン?(幻冬舎文庫、2022/08)

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キケン (新潮文庫)

新潮文庫

Posted by お亀納豆