【小説】推し、燃ゆ【感想/ネタバレ】
著:宇佐見 りん
推しを推すとき、あたしというすべてを懸けてのめり込むとき、一方的ではあるけれどあたしはいつになく満ち足りている。
2020年9月刊行物。約河出書房新社刊。約5日の積み。第164回芥川賞受賞作品であり、本屋大賞2021の第9位。
普段読むものとは毛色が全然違うんだが、推しの炎上というものを扱っていると聞いて面白そうかなーと。
濃いピンクの装丁と鮮やかな青のスピンの対比が美しい。
推しを推すこと以外に強い気持ちを抱けない少女あかり。日々、推し活に精を出すが、ある日、その推しが炎上してしまって……。
推しを推すことで満ち足りる、充足感を得るというのはとても共感が出来る話。一方的だからこそ安心して推せるというのはあるかもしれない。
身近な人間関係や現実に目を向けろって言われるけど、そんなの興味無いよなぁ。これは超理解る。
あかりは日常生活が大分破綻しているので、これが推しを持つ人の普通だと思われるのがアレだが、推しに対する考え方はおおよそ的を射てるんじゃなかろうか。
推しの状況が悪化するにつれて、あかりの日常がどんどんクシャクシャになっていくので、このまま破滅の道を進むのかと思えば、退廃的ではあるものの一線は越えずに終了。
推しの自宅特定みたいな話題へと展開するから傷害事件でも起こすんかと思ったわ……。
推しの芸能界引退を受けて、このままあかりは何者にもなれないまま消えていくんだろうか。何かの拍子に新しい推しと出会えれば復活しそうな気がしないでもないが……。
実際問題、推しからの供給が途絶えた人ってどうしてるんだろうね。俺は好きなものが並行して色々あるから完全に供給が途絶えるってことは無いんだけれども……。
燃:C 萌:C 笑:C 総:A-
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