恋する鬼門のプロトコル
「葉介はんはたまものことを想うて、ウチのコト、黙ってはりました。そのことで葉介はんは、たまもに見返りを求めてはりまへん。何も知らんさかい、今後もたまもが葉介はんに感謝することもありまへん。無償の愛どす。ウチが一番嬉しいんは、そういう愛なんどす」
「葉介はん。ウチが嬉しかったんやから、それは愛どす。愛っちゅうもんは、相手が愛だって感じれば、愛なんどす」
約6ヶ月3週間半の積み。電撃文庫。電撃小説大賞受賞は逃したものの、担当さんの目にとまり、デビューした新人さん。
イラストはMF文庫J『黒姫のユズハ』『三流木萌花は名担当!』、HJ文庫『デウス・レプリカ』でお馴染みのをんさん。
正直、最終選考にさえ残っていない電撃の新人って、良いイメージ皆無なんだけど、ところがどっこい面白かったです。
最初は高校デビューを狙う少女たまもと幽霊が見える少年、葉介の視点が交互に描かれていくという構成。
中盤からは脇役の視点も多少混じってくるが、基本的には上述の2人の視点で物語は進行していくことになる。
中盤まではMFのような、ちょっと不思議要素ありのラブコメの風情なんだが、コンピュータ用語とオカルトが絡まり出したあたりから、ラブコメというにはシリアス、かと言って、じゃあ何なんだ、という展開に。学園サスペンスとでも言えば良いのか。
中盤までは登場人物のちょっと風変わりな青春っぷりに、中盤以降はたまもの中に眠る妖狐チーの甘えっぷりに、ああぁああぁあああぁあああぁぁあああああああああってなります。
応募時は全文がブログ風の日記体だったらしいけど、だから本文中で当たり前のように芝を生やしてるのか?
また、途中で何箇所か横書きのウェブページをそのまま見せるという手法を採っている部分が。
読者をすんなり、この演出に馴染ませるために、敢えて通常の本文の中にネット上の文章っぽく芝を生やしているんだとすれば、大したもんだと思うが、考え過ぎだろうなぁ。
惜しむらくはサブヒロイン、ユリアのお父さんを殺しちゃったことかなぁ。死人が出ちゃったことで、ラブコメがやりづらくなったんじゃないかと思うわけだが。続刊でどんなテンションになってるかですね。
つーわけで、『恋する鬼門のプロトコル』でした。多少分厚いでの、とっつきづらかったんだけど、落とし所が分かんなかったこともあり、面白かったです。続刊にも期待。
新年早々良い新作が読めて嬉しいな。まぁ、出たの半年以上前だけどな!!
次は2010年10月、その次が2011年3月。
燃:B 萌:A+ 笑:B+ 総:A+
シリーズリンク
・恋する鬼門のプロトコル <2>(2010/10)
著者リンク
・サディスティックムーン(2014/11)
イラストリンク
・三流木萌花は名担当!(MF文庫J、2009/09)
・落第騎士の英雄譚(GA文庫、2013/07)
第16回電撃小説大賞リンク
・ご主人さん&メイドさま 父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります(銀賞、2010/02)
・[映]アムリタ(メディアワークス文庫賞、メディアワークス文庫、2009/12)
・月光(最終選考、2010/09)
・マリシャスクレーム -MALICIOUS CLAIM-(4次選考、メディアワークス文庫、2010/06)
・ミネルヴァと智慧の樹 始原(4次選考、2010/07)
・理想の彼女のつくりかた 第一稿 のはずがポンコツだなんて、そ、そんなバカなっ!(4次選考、2010/08)
・官能小説を書く女の子はキライですか?(4次選考、2010/08)
・ハロー、ジーニアス(4次選考、2010/10)
・平安鬼姫草子 ~神ながら神さびせすと~(4次選考、2010/10)
・彼女はつっこまれるのが好き!(2次選考、2010/07)
電撃小説大賞3次選考リンク
・はい、こちら探偵部です(第14回、2010/10)
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