【ボーダー】むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり【1巻/感想/ネタバレ】
著:野村 美月 イラスト:竹岡 美穂
ぼくは、書店員で良かった。
書店に生まれて、書店員として生きたことに、じゅうぶんな価値はあったと。
2020年6月の新刊。約3日の積み。長いこと筆を折っていた野村さんが復活して送る新作『むすぶと本。』は文庫とソフトカバーの同時刊行。
イラストはソフトカバーらしく表紙のみ。それも自己主張が超控えめなもので。読後に見直すと味わい深いかも。
こちらは文庫の方から主人公むすぶが出張してきているイメージで、閉店が決まった幸本書店を舞台に様々な人達の本に影響を受けた人生が描き出されている。
むすぶがもうすぐ2年生になると言っているので、時系列は文庫より後なのか。
むすぶはあくまでも幸本書店を訪れる人々がそれぞれの決着を迎えられるように、本の声が聞こえるということを最大限に活かしてサポートする立場。
だからエピソード毎にそれぞれ主人公が存在するような感じかなー。
うん、理解る!理解るよ~!通い詰めた書店が無くなっちゃうのって喪失感が半端無いんだよなぁ。別に本屋なんて他にもあるやんと言われたらそうなんだけどさ……。その書店特有のレイアウトとか癖とかあるやんか。
野村美月さんの優しい世界観が炸裂しているが、決してこれはビブリオミステリーというジャンルではないと思うぞ……。いやだって、なぁ……?
これでミステリーを名乗って良いなら、謎が少しでもあれば全部ミステリーやで……。
今のご時世、ビブリオミステリーって言っとけば結果が出易いのかしらん……。
巻末には文庫と同じ夜長姫の独白が。むすぶの出張についてきてるんだが、出番は極めて少ない。
これでソフトカバーから入った読者を文庫の方に誘導するわけか。
番外編という印象が強い1冊だったが、こちらはこれ1冊で終わりかな。続くとしても文庫の方かね。
燃:C 萌:A- 笑:C 総:A
シリーズリンク
・むすぶと本。 『外科室』の一途(ファミ通文庫、2020/06)
・むすぶと本。 『嵐が丘』を継ぐ者(ファミ通文庫、2020/11)
・むすぶと本。 七冊の『神曲』が断罪する七人のダンテ(ソフトカバー、2021/02)
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