【ラノベ】アジャンスマン:あるいは文化系サークルのラブコメ化を回避する冴えたやりかた【感想】

アジャンスマン:あるいは文化系サークルのラブコメ化を回避する冴えたやりかた (ファンタジア文庫)

著:御手座 祀杜(みてぐら・しと) イラスト:Gilse

━━《改編(アジャンス)》開始だ。

ファンタジア文庫2018年12月の新刊。約3日の積み。第30回ファンタジア大賞最終選考作。応募時タイトルは「アジャンスマン -新時代創作神話-」。
サブカルネタ寄りのラブコメっぽかったので購入。

山繭旁(やままゆ・つくり)は休学期間を経て、かつて所属していた《現代コンテンツ表現調査部会》へと帰ってきた。しかし、そこは当時の雰囲気は残っておらず、オタク美少女達がゆるーく過ごす空間と化していて……。

という導入だけ見ると、あ~男の願望丸出しでオタク美少女達とのラブコメが繰り広げられるんやな……と思うじゃないですか。
ところがどっこい、ラブコメはおまけで創作に真剣に打ち込むヒロイン達を主人公がフォローするというお話でした。
あっ、これ最近ちょっと下火になりつつある教官ものの構造なのかも。

本作では創作に対する突出した才能を一種の異能力として定義しており、中には厨二臭いネーミングが付いているものも。そういうのがもっと沢山出て来れば面白かったのではないかと思うが……。

で、表紙や口絵でフィーチャーされている正統派美少女メルカですよ。こんだけイラスト面で厚遇されているのに、今回のメインヒロインじゃないんですよ。何……だと……。
本命は見た目ギャルだけどロボットやプラモが好きで小説も書くアキナという女の子。ただし旁は取り敢えずメルカの方と付き合っているという。
これは今後、修羅場る予感でごわす……。

正直、創作論がどうのこうのっていう要素で売り出すわけにもいかんので、ラブコメ部分を推さざるを得なくなっているんだろうが、その割にはあまり強くラブコメしていないので何とも。

創作論パートではアキナが強く、ラブコメパートではメルカが強いという、このよく理解らんバランスは何なのかと思ったら、後書きでメルカパートは2巻でやる予定のものを編集指示で前倒したとのこと。だから違和感があったのか……。
アキナだって可愛いんだし、ラブコメパートもアキナ担当でよかったでのは。

いや、ラブコメを入れておかないと2巻打ち切り待ったなしになるだろうから入れちゃ駄目というわけではないんだが、ストーリー構造が不自然なんだよなぁ……。アニメ化作家の新シリーズとかならともかく。
そもそも旁はよくある鈍感系主人公なので、特に冴えた回避をしているわけではないという。

脈絡の無いサービス挿絵なんかもあるぞ。タイトルが出せないのにMF文庫J『僕は友達が少ない』の星奈のコスプレをしたイラストがあるのもそういう売り上げに繋げたいという狙いなんだろうか。

妙に小難しい言葉遣いが引っ掛かるなーと思ったら、元は一般小説を目指していた人なのか。道理でな。
後書きの応募原稿をどう改稿したかという説明は普通だと人気シリーズにでもならないと知りようのないことなので嬉しいですね。
それにつけても著者紹介イキリ過ぎワロタ

そんな具合で新作でした。良くも悪くも最終選考作といった雰囲気か。続きが出たら買おうとは思うが2巻終了かしらね……。

燃:B 萌:A 笑:B 総:A

第30回ファンタジア大賞リンク
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