【ラノベ感想】キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った
著:比嘉 智康 イラスト:はっとり みつる
「わたしと一緒に多重人格ごっこ……しませんか?」
ファミ通文庫2017年8月の新刊。約2日の積み。『転醒のKAFKA使い』から3年4ヶ月振り。業界から消えてしまったかと思われた比嘉さんが遂に復活。
カテゴリーとしてはファミ通文庫ネクスト扱いで、カバーはマット加工となっている。ロゴもネクスト用のデザインになってるのね。
ネクストのコンセプトがイマイチ理解らんが、挿絵の少なさやストーリーの雰囲気からすると、どうもメディアワークス文庫や富士見L文庫等、そういうボーダーを狙いたいんではないかと思う。
カラーイラストは表紙のみ。口絵ピンナップは表紙の使い回しになっているが、これはネクスト共通の仕様なのか、それとも……。
挿絵は章扉のみ。
高校で再会を果たした一色華の実と囚慈、θ郎、キイロの三人がかりで生きているチーム市川櫻介(おうすけ)。
華の実は昔考えたみんなの夢を叶えていきたいと言うが……。
多重人格の主人公と多重人格のヒロインが織り成す不思議な恋愛物語。こういうとぽわぽわした雰囲気を想像するんだけど、まぁ書いてるのが比嘉さんなので言葉のチョイスが相も変わらず独特です。
うーん、小学校時代から高校までを1冊でカバーして完結までもっていってるので、展開が早過ぎるかなぁ。回想で中学時代のエピソードも入れ込んでいるから密度が……。
それに一見、登場人物が少なそうに見えて、人格が多いからごちゃごちゃしてしまっている。
その所為で最後に春雨が消える展開になっても、読者からしたらあまり印象の残っていないヒロインの主人格を助けるために主人公と恋人関係になった副人格が消えるという寂しいオチにしか感じられないような……。
いまいちよく理解らないんだが、主人公の身体が名乗っている櫻介の人格は最初から存在しないのか?
描写されている3人の人格はいずれも副人格っぽい感じがするが……。
何よりアレなのが比嘉さんの持ち味のサイコでクレイジーな敵キャラが存在しないところが惜しい。多分、その辺楽しみにしてる人多いのでは……。
うーむ、これはちょっと続きが出ても買わないかなー。サイコな敵が出るなら考えるが……。
燃:C 萌:A- 笑:A- 総:A-
著者リンク
・神明解ろーどぐらす(MF文庫J、2010/03)
・泳ぎません。(MF文庫J、2011/09)
・覚えてないけど、キミが好き(一迅社文庫、2012/04)
・転醒のKAFKA使い(ファミ通文庫、2014/04)
・たまらん! メチャクチャな青春ラブコメに巻き込まれたけど、生まれてきてよかった。(MF文庫J、2015/05)
キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った (ファミ通文庫) | |
比嘉智康 はっとり みつる
KADOKAWA 2017-08-30 |
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