著:飯田 一史(いちし)
青土社(せいどしゃ)2012年4月刊行物。今潤氏が薦めてきたので借りてきました。
著者の飯田さんは文芸評論家らしい。もっとオッサンかと思っていたら、30歳くらいだった。
さて、本書はアマゾンの売上ランキングトップに輝いたラノベ作品を紐解くことで、その作品が何故売れたのかを分析するもの。
問題は、そもそもラノベのメインターゲットはアマゾンでラノベを買うのかって話だけどな。ただ、紹介されている作品は紛うことなきヒット作ばかりなので、あながち外れというわけでもないか。
ランキング1位の作品を取り敢えず1巻だけ読んでみました(ドヤァ)って内容だったら燃やそうかと思ったんだけど、これがなかなか広い範囲を抑えていて好印象。
特にファンタジア文庫『鋼殻のレギオス』のスピンオフコミカライズ『フェリの詩』やZ文庫にまで言及しているのが嬉しい。Z文庫とか、完全に存在を忘れてたわ……。
それに、電撃文庫『とある魔術の禁書目録』の主人公をそのまま上条さんって書いていて吹いたw
紹介されたラノベは、タイトルだけ参照したものも含めて、全部最低1巻は読んでるわ俺……。
各作品の解説は納得のいくものなんだけど、これって紹介されている作品を読んでいなくてもピンとくるものかなぁ。
読んでる身としては凄く理解り易かったが。
失敗例として、俺達の富士見ミステリー文庫がディスられていて泣いた。いや、正論なんですけどね……(´・ω・`)
本妻確定型ハーレムと本妻不在型ハーレムという分類は面白いな。不在型の問題点として、『レギオス』とMF文庫J『IS〈インフィニット・ストラトス〉』が失速した理由を絡めているところも納得。
他社誌でコミカライズを連載するのって、普段ラノベを読まない層へのアピールが目的だったんだけど、自社で製作費を出さなくて済むってリスクヘッジがあったのね。
確かに総指揮はとらんといけないだろうけど、漫画として完成させるための最終的なパワーは委託先の出版社持ちだろうしなぁ。
ちなみに最後にイラストに及ぶ分析は行っていないと断られているが、紹介されている作品はいずれもイラストの最低限のクオリティ(特に表紙)が確保されているものばかりだから、イラストの良し悪しも当然売上に関係あると思われる。
飯田さんは学校だけでなく、会社にも朝読書が定着すれば出版不況は無くなると言っているが、もしそんなことになったら、嬉しさのあまり失禁するまである。
まぁ、そんな具合で頷ける部分が多くて予想外に面白かったです。ただ、ラノベ作家を目指してる奴はこんなもん読んでないで、さっさと書けよって話ですが。
あと、紹介されてる作品を読んだことないのに、この本を読んだだけで知った気になる残念ちゃんが湧きそうでアレ。
燃:C 萌:C 笑:B+ 総:A