【小説】文庫版 空飛ぶ広報室【感想/ネタバレ】
著:有川 浩
「広報っていう仕事は、航空自衛隊を飛ばすことができるんです。━━世間の風に」
幻冬舎文庫2016年4月の新刊。約4年2ヶ月2週間半の積み。『文庫版 ストーリー・セラー』からは4ヶ月振り。
有川さんが久し振りに繰り出す自衛隊ものは航空自衛隊の広報室が舞台の連作短編集。
とは言っても従来の自衛隊作品と違ってSF要素は入ってきていないので、同じシリーズに括るようなものではないっぽい。
幼い頃から憧れていたブルーインパルスへの搭乗権を獲得した直後に不慮の事故により、その夢を断たれた主人公、空井大祐。
彼が次に配属されたのは航空幕僚監部広報室。そこで空井は個性豊かな仲間達に揉まれながら元パイロットだからこそ出来る広報を見付けていく……。
自衛隊の中でも外部との折衝が多いという特殊性を持つ広報室。有利な条件を引き出す交渉シーンなんかは自衛隊でなくとも仕事の参考になりそう。
自衛隊の幹部候補生は長くとも3年、早ければ2年も経たずに異動がかかって、全国各地を転々とするってマ?たかだか2、3年で仕事なんて全然身に付かなくね?
しかも異動してきた幹部候補を教育するのは経験豊富な年上の下士官って、めっちゃやり難そうでチ〇コもげそう。教える側と教わる側の歯車が噛み合わないと絶望的に悪い環境になるんじゃないか。
何でそんな歪な構造になってるんだろう。
劇中では、自衛隊が嫌いな人も一定数いるという旨の表現がよく出て来るけど、そんなに嫌うようなもんかね。戦争を経験した世代なら、まだ理解らんでもないんだけど、別に年配の層に偏っている感じでもなさそう。
ラストには東日本大震災にまつわるエピソードを収録。文庫化にあたって追加されたのかと思いきや、オリジナル版の刊行直前に地震があって急遽追加したものとのこと。だから違和感のある形で独立してるのか。
興味深いお話でしたが、個人的にはもうちょいLOVE寄せしてくれても良かったのよ。自衛隊とマスメディアの距離感を表現しているんじゃないかって解説に書かれていたが、本当にそうなのかな。
燃:A 萌:A- 笑:A- 総:A+
著者リンク
・レインツリーの国(ハードカバー、2006/09)
・文庫版 空の中(角川文庫、2008/06)
・三匹のおっさん(ハードカバー、2009/03)
・シアター!(メディアワークス文庫、2009/12)
・文庫版 阪急電車(幻冬舎文庫、2010/08)
・文庫版 ラブコメ今昔(角川文庫、2012/06)
・文庫版 フリーター、家を買う。(幻冬舎文庫、2012/08)
・文庫版 植物図鑑(幻冬舎文庫、2013/01)
・文庫版 県庁おもてなし課(角川文庫、2013/04)
・新潮文庫版 キケン(新潮文庫、2013/06)
・新潮文庫版 ヒア・カムズ・ザ・サン(新潮文庫、2013/09)
・文庫版 ストーリー・セラー(幻冬舎文庫、2015/12)
・文庫版 旅猫リポート(講談社文庫、2017/02)
・文庫版 キャロリング(幻冬舎文庫、2017/12)
・文庫版 明日の子供たち(幻冬舎文庫、2018/04)
・文庫版 アンマーとぼくら(講談社文庫、2020/08)
・文庫版 イマジン?(幻冬舎文庫、2022/08)
・文庫版 みとりねこ(講談社文庫、2024/04)
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