【小説】文庫版 明日の子供たち【感想/ネタバレ】

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著:有川 浩

そのまま放っておけば貧困や虐待で社会の波間に沈んでしまう子供をサルベージし、自立した社会人として送り出す。それが投資でなくて何だ。

幻冬舎文庫2018年4月の新刊。約3年5ヶ月2週間の積み。『キャロリング』は4ヶ月振り。

児童養護施設の職員に転職した主人公、三田村慎平。アツい志を以てやって来た新天地で早速、先輩職員から手厳しい指導を受けて……。
というわけで有川さんが描く次なる舞台は児童養護施設。何やら実際に施設で暮らす児童から自分達の事を書いてほしいという手紙を受け取ったところから動き出した企画だそうな。

最初は三田村先生の視点から世間一般が持つ児童養護施設というもののイメージをぶっ壊していく形か。
施設出身者であることそのものがハンデとなってしまうというのが厳然たる事実であるのが厳しい。

施設に限った話ではないけど、投資というフェーズを考えてない無能が多過ぎるんだよなぁ。そのくせオイシイ結果だけは人一倍欲しがるクズどもめ……絶対に許さない。

そんな中、初見の印象こそ陰気な冴えない中年という雰囲気だった猪俣先生がアツい。何故、ブレない考え方を身に付けたのかが見えてきた辺りから一気にアツいキャラに。
自分の信念を突き通す姿勢がかっけーんですよ。

有川さんの持ち味のLOVE寄せも他シリーズに比べると薄味ながらもきっちり仕込まれていて良いですね。もっと寄せても良かったんですよ……。

主題からは逸れるが、本を読むと色んな人の人生が覗けて色んな価値観を知ることが出来るっていう考え方、大好きです。

燃:A- 萌:A- 笑:A- 総:A+

著者リンク
レインツリーの国(ハードカバー、2006/09)
文庫版 空の中(角川文庫、2008/06)
三匹のおっさん(ハードカバー、2009/03)
シアター!(メディアワークス文庫、2009/12)
文庫版 阪急電車(幻冬舎文庫、2010/08)
文庫版 ラブコメ今昔(角川文庫、2012/06)
文庫版 フリーター、家を買う。(幻冬舎文庫、2012/08)
文庫版 植物図鑑(幻冬舎文庫、2013/01)
文庫版 県庁おもてなし課(角川文庫、2013/04)
新潮文庫版 キケン(新潮文庫、2013/06)
新潮文庫版 ヒア・カムズ・ザ・サン(新潮文庫、2013/09)
文庫版 ストーリー・セラー(幻冬舎文庫、2015/12)
文庫版 空飛ぶ広報室(幻冬舎文庫、2016/04)
文庫版 旅猫リポート(講談社文庫、2017/02)
文庫版 キャロリング(幻冬舎文庫、2017/12)
文庫版 アンマーとぼくら(講談社文庫、2020/08)
文庫版 イマジン?(幻冬舎文庫、2022/08)
文庫版 みとりねこ(講談社文庫、2024/04)

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明日の子供たち (幻冬舎文庫)

幻冬舎文庫

Posted by お亀納豆