著:雪乃 紗衣 イラスト:由羅 カイリ
「……劉輝……」
「聞きたくない」
「聞いてよ。誰が王でも私は変わらないけど……。でも、言ったわね。私の王様は、やっぱりあなたが一番いい。あなたの官吏でいるのが、一番好き……」
2011年7月の新刊。約4日の積み。連続刊行で怒濤のシリーズ完結。通算22冊目。
表紙は上巻と合体するようになっている……筈。
上巻の時点で十分分厚かったが、今回は宣言通り、ビーンズ文庫にあるまじき分厚さ、約530ページ。
男性向けラノベでも、そうそうやれないページ数であることを考えると、どれだけの無茶が許されているか分かろうというもの。
というか、雪乃さんが3分冊を嫌がった理由がよく理解らない。
さて、劉輝編とも言われる完結巻。上巻のラストから、若干時系列が戻って、中盤過ぎまでは完全に劉輝のターンです。ずっと胃が締め付けられるような展開ですが。
その頃、十三姫は劉輝のため、後宮を守っていた。「股のもんチョン切れ!!」とか怖過ぎるわw
目覚めた秀麗さんは秀麗さんで、いきなりハリセン振り回して晏樹をしばくというパワープレイ。
何なの女性陣こわい。
しかし復活の秀麗さんかっけー。
対峙する劉輝と旺季。細い細い道を通りぬけて、最後に王たる証を示したのは劉輝だった。
全州から劉輝の元へ人々が集まって来るシーンは胸熱。影月、久し振りじゃないか。
そして訪れる秀麗さんのリミット。だが、運命の巡り合わせが奇蹟のロスタイムを用意してくれていた。
秀麗さん、元気になって本当に良かったなぁ。元気になった途端、また豪快にフラグブレイクかよと思ったら、遂に秀麗さんのデレ期キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
しかも数年後にはめでたく劉輝と結婚ですよ!もう絶対無理だと思ってたよ!良かった、本当に良かった。最高のハッピーエンドやで……。
加えて、あの朱鸞(しゅうらん)が国試に及第したという事実。絶対、秀麗さんの後を追ってくることは判り切ってたけど、それでもその足跡が垣間見えたことが嬉しい。涙出て来た。
正直、秀麗さんは何の容赦も無くリミットが来て死ぬと思ってたわ……。
ってか、誰も死ななかったよな。悠舜が仮病とかまぢ。
これこそが俺の好きな『彩雲国』のノリだよ、と言いたくなる素晴らしい幕引きでした。
総評
ってなわけで、彩雲国初の女性官吏、紅秀麗の活躍を描いた角川ビーンズ文庫『彩雲国物語』本編18冊、短編集4冊の計22巻、これにて完結。
始めはアニメから入ったわけだが、まさかこんなに面白くなるとは思わなんだ。
伏線の張り方と心理描写の盛り上げ方が絶妙なんだよなぁ。特に茶州編。
俺が号泣した数少ないラノベの内のひとつとなった。
何といっても秀麗さんの行動力だよなぁ。官吏になってからは苦労しっぱなしだったけど、それでもそれこそが秀麗さんにとっては最高の幸せだったわけで。
死ぬまで駆けずり回ったんだろうなぁ、と。
あと、秀麗さんに世話焼かれて、尻蹴っ飛ばされて、美味しいご飯食べさせてもらって、最後に笑顔見せられたら、誰でも惚れてまう。間違い無い。
そんなわけで、そろそろアニメ完結編をですね……。
燃:A+ 萌:A 笑:A- 総:S
シリーズリンク
・彩雲国物語 紫闇の玉座(上)(2011/06)
・彩雲国物語 運命が出会う夜 前後編
・彩雲国秘抄 骸骨を乞う(ハードカバー、2012/03)