嗤う伊右衛門

3月 21, 2010 by
Filed under: 角川文庫 

嗤う伊右衛門 (角川文庫)

著:京極 夏彦

「情けにしても怨みにしても、受ける方にその気がなきゃア成り立たねェんです。哀れみを受ける方ってのはね、それが真実(ホント)は蔑みだったとしても、蔑まれてるたあ思わねえ。それが世間の約束ごとで。それを破っちまっちゃ始まらねえ。想いってのはねお岩様、どんな想いでもそのまンま相手に通じることなんかねエんです。想われる方が勝手に作り出すもので御座居ましょうよ。ですからね、いずれ━━喜ぶも怒るも━━お前様次第で」

中古。角川文庫。画像は映画に合わせたバージョンだと思うけど、俺が買ったのは格好良い方です。
図書館で借りれば良いような本を何故買ったかというと、古本市場の500円券の使い道が無かったからです。どうせ買うなら、もうちょっと状態の良い物が良かったんだが。

さて、京極さんの怪談シリーズです。題材はお岩様が有名な四谷怪談。これは時代小説なんだろうかなぁ。解説にはミステリでもある、みたいなこと書いてあるけど。

複数のキャラクタ―の視点から物語を描きだしていく手法はいつも通りか。この各要素が繋がっていく様が好きなんだよなぁ。油断すると内容についていけなくなるけど。

最初は価値観の違いによる些細なすれ違いなんだけど、そこに悪意が介入して、坂を転がり落ちるように絶望展開に進んでいく様はぞくぞくする。

以前に京都新聞夕刊で連載されていた『数えずの井戸』が全滅エンドだったから、もしやとは思ったんだが、案の定全滅エンドでした。
終盤、登場人物がざくざく死んでいくときの絶望感は異常。

やっぱり、この人の作品は面白いなぁ。いや、「面白い」という表現が適切かは難しいところだが。

燃:C 萌:C+ 笑:C+ 総:A+

映画リンク
嗤う伊右衛門 Eternal Love

著者リンク
文庫版 嗤う伊右衛門(角川文庫、2001/11)
文庫版 巷説百物語(角川文庫、2003/06)
文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし(角川文庫、2010/10)
分冊文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼(上)(講談社文庫、2011/09)

厭な小説 文庫版(祥伝社文庫、2012/09)
文庫版 死ねばいいのに(講談社文庫、2012/11)
角川文庫版 幽談(角川文庫、2013/12)
文庫版 虚言少年(集英社文庫、2014/09)
文庫版 オジいサン(中公文庫、2015/02)
文庫版 書楼弔堂 破暁(集英社文庫、2016/12)

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