文庫版 死ねばいいのに

文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)
著:京極 夏彦

「だからさ。あんたらさ、あんただけじゃねーけども。どうしてそんなに簡単なことが解んねー訳?どうにも出来ねーどうにも出来ねーって。そんなことそうある訳ねーって。必ずどうにかなるのに、どうにもしないだけだって」

講談社文庫2012年11月の新刊。約2年4ヶ月3週間の積み。『文庫版 邪魅の雫』からは3年5ヶ月振り。
小説現代にて連載されたものに書き下ろしを加えて刊行。
タイトルとこの表紙である。完全にホラー系の雰囲気なんだけど、そうではない。

アサミという女性が死んだ。何者かに殺害されたのである。ケンヤという青年はアサミと関係ある様々な人物を訪ね歩くが……というお話。

不平不満を垂れる大人達をケンヤがバッサバサ切り捨てていく様は痛快と見せかけて、読んでる自分自身がお説教されているような気持ちになる。

これはミステリーなんだろうか。トリックがあるわけでも、犯人探しが行われるわけでもないし。
それに結局、動機が何だったのかは有耶無耶なままに終わってしまうしなぁ。ミステリーとして押し出されるとキョトンとしてしまう。帯に書いてある「謎(ミステリー)」ってのは推理の対象になるような謎ではないってことかしら。

って、連載のときは物凄く中途半端なところで終わってるんだな。いや、続きが気になる終わらせ方にしておいた方が単行本を出したときに売れるんだろうけど。

燃:C 萌:C 笑:C 総:A+

著者リンク
文庫版 嗤う伊右衛門(角川文庫、2001/11)
文庫版 巷説百物語(角川文庫、2003/06)
文庫版 邪魅の雫(2009/06)
文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし(角川文庫、2010/10)
分冊文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼(上)(講談社文庫、2011/09)

厭な小説 文庫版(祥伝社文庫、2012/09)
角川文庫版 幽談(角川文庫、2013/12)
文庫版 虚言少年(集英社文庫、2014/09)
文庫版 オジいサン(中公文庫、2015/02)
文庫版 書楼弔堂 破暁(集英社文庫、2016/12)
文庫版 虚実妖怪百物語 序/破/急(角川文庫、2018/12)
文庫版 ヒトでなし 金剛界の章(新潮文庫、2019/02)

講談社文庫

Posted by お亀納豆