「やっと蓬山に祭りの季節が来ますぞえ」
ハートフル過ぎて、もげた。
2012年9月の新刊。約2日の積み。3ヶ月振りの新刊。シリーズ通算4冊目。
新装版なんだから隔月、2冊同時刊行くらいやっても良いと思うの。
新装版刊行後に出ると宣言されている新作を書くための時間稼ぎなのだろうか……。
さて、麒麟の視点で語られる本編第2章です。分冊だったのはホワイトハート版だけで、講談社文庫版の時点で1冊にまとまってるんだな。
時系列としては、陽子が王になる数年前。
蝕によって蓬莱に流された泰麒が十二国に連れ戻されるところから物語は始まる。
プロローグは『魔性の子』から、そのまま引用されてるのか。
蓬山に戻った泰麒は麒麟という立場に戸惑いながらも、女怪や女仙達に慈しまれ、穏やかな日々を過ごす。
泰麒を連れ戻すときの協力者として、ちょっとだけ登場した廉麟って、後々出番あるんだっけな。
泰麒に麒麟としての在り方を教えるために、景麒がやって来る。泰麒を扱いかねて困る景麒萌えと言わざるを得ない。
この泰麒と景麒の交流が、これまたハートフルでなぁ。
ただ、泰麒と触れ合って、景麒が多少柔らかくなったことが、当時の景王、舒覚が道を踏み外すきっかけになったのは皮肉だよな。
そりゃ普段、仏頂面で厳しいことばかり言うイケメンが、不意に微笑を浮かべて優しい言葉を囁いたらコロっといくわな。
実は、景麒の出番はこっちのエピソードの方が多いんだよな。
多少落ち込むことはあっても、基本的にハートフル。『月の影 影の海』の鬱っぷりが何だったのかと思うくらいにハートフル。
驍宗を王に選んだのが間違いではなかったと分かるハッピーエンドがこれまたハートフルで。
しかし、この後に『魔性の子』があると思うと、テンションダダ下がりでござるなぁ。
いやぁ、面白いな『十二国記』。初めて読んだのが高校2年くらいだから、思い出補正が強いのかとも思ってたんだけど、今読んでもガッチリ面白いわ。
次は2013年1月『東の海神 西の滄海』。良かった、ちゃんと刊行予定が出て……。
燃:A+ 萌:A- 笑:C+ 総:A+
シリーズリンク
・新潮文庫版 十二国記 月の影 影の海(下)(2012/06)
・新潮文庫版 十二国記 東の海神 西の滄海(2013/01)