ザ・ジャグル 汝と共に平和のあらんことをⅠ

ザ・ジャグル―汝と共に平和のあらんことを〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

著:榊 一郎 イラスト:usi

「クリンゲンスミスさん。殺人鬼って━━どんなイメージ?」
「え……?」
「何人も何人も難くもない人を殺してる訳でしょう。それってどんな心理なのかなって。殺人鬼って言葉で私たち、つい分かったような気になってしまうけど、もし〈首無し騎士〉が本当にいたとしたら、何を考えてそんなことをしてるのかなって」
「殺人鬼……」
「ひょっとしたら」
「ひょっとしたら?」
「辞めたくても、辞められないのかもしれません」


約五日の積み。ハヤカワ文庫JAに榊さんが登場です。ブログで言っていた年末から春にかけて黒榊が意外なレーベルから出るってのはこのことだったのね。
ちなみにJAとは「Japanese Author」の略。

ハヤカワ文庫って初めて買ったけど、何この中途半端なサイズ。ビニールカバーが掛けられやしねぇ。それと天井がガタガタ。別に新潮文庫みたいに紐の栞が付いてるわけでも無し。ただの裁断ミスなのか。店頭にあった三冊ともガタガタだったけど。

遥かな未来、軌道エレベーター〈グレート・ピラー〉を取り囲むように建設された永久平和都市オフィールを舞台に、戦時中のしがらみを残す者達を狩る特殊部隊〈手品師(ザ・ジャグル)〉の活躍を描く連作中編集。中編のプロットが十三本あるってことはかっちりアニメワンクール分ってことか。このペースなら、三巻か四巻で終わりかな。
元々は某メディア企画が元だそうで、映像化したら映えそうな半面、文字媒体で読むとなると、好き嫌いが結構分かれそう。正直、俺も榊さんの作品じゃなかったら切ってると思う。
特に出だしが厳しいかな。ひたすら、専門用語が出て来る戦闘シーンってのは一部の人には御馳走だけども。

物語は主に〈手品師〉の一員ジェイドと報道士のキャロルの二人の視点で語られる。って、またキャロルか!『すてプリ』にも『世界で一番優しい機械』にも居たやん!
そう言や、この作品から『まかでみ』の〈混沌委員会〉に選ばれた人居んのかな。
あとは軍用基準性能調整体(ミルスペック・チャイルド)と言えば、『ディスパレイト!』ですね。

榊さんの持ち味であるお説教はあまり無し。文体は結構かっちりしていて、時々いつもの榊さんの文章が顔を覗かせる感じ。いつも通りと思って掛からない方が良いかも。
明るくないという意味では、黒榊だけど、さほどグロというわけではない。『ストジャ』とか『イコノ』に比べたら屁でもねぇ。

巻末には少しだけ設定解説ページが。
次は帯によると、三月だそうで。隔月刊行……だと……?以下隔月刊って書いてあるんだけど、これはハヤカワ文庫JAが隔月刊なのか?

燃:B- 萌:C 笑:C 総:B+

シリーズリンク
ザ・ジャグル 汝と共に平和のあらんことをⅡ(2010/03)

著者リンク
ミカヅチ(MF文庫J、2010/02)

ストレイト・ジャケット11 ニンゲンのアシタ~THE DEATH BELL 2nd.HALF~(2010/09)
棺姫のチャイカⅠ(ファンタジア文庫、2010/12)
ダブルバインド 黄昏の獣に踊る(C★NOVELSファンタジア、2011/09)
その男、魔法使い“A” <1>(ファミ通文庫、2011/11)
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者 <1>(講談社ラノベ文庫、2011/12)
タタリ・ブレイカー弑子(HJ文庫、2012/04)
神曲奏界ポリフォニカ エイフォニック・ソングバード(GA文庫、2012/05)
アーク・ブラッド A.D.5000のアダム(C★NOVELSファンタジア、2012/09)
フェアリィフィールド 妖精戦陣(朝日ノベルズ、2012/11)
茉建寺エリノアの非主流科学研究室(ファミ通文庫、2012/12)
仮想天使は魔術を詠う(スマッシュ文庫、2013/03)
蒼穹騎士 -ボーダー・フリークス-(2013/06)
ドラゴンズ・ウィル 完全版(富士見書房ソフトカバー、2013/09)
機関鬼神アカツキ <1>(ファミ通文庫、2013/12)
神鎧猟機ブリガンド(ダッシュエックス文庫、2014/11)
熾天使空域 銀翼少女達の戦争(C★NOVELSファンタジア、2015/03)
蒼鋼の冒涜者(HJ文庫、2015/05)
カタナなでしこ(講談社タイガ、2016/01)
ウィッチ・アームス 魔法少女は素敵なお仕事(ダッシュエックス文庫、2016/06)
永き聖戦の後に ストレイ・シープ(スニーカー文庫、2016/11)
パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1巻(講談社ラノベ文庫、2017/05)
誰が為にケモノは生きたいといった(ファンタジア文庫、2018/02)
Zの時間(HJ文庫、2018/04)
終末のアダム(講談社ラノベ文庫、2018/10)
嫁々いみぐれーしょん(講談社ラノベ文庫、2018/11)
メイドな狐と監禁コン!(美少女文庫、2019/04)
妖精狙撃 エルフ・ウィズ・サイレントアサシン(ファンタジア文庫、2019/08)
いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~(スニーカー文庫、2019/09)
竜姫のヴィオラ 生贄は最強の魔物と恋に落ちて(美少女文庫、2019/09)
覇逆のドラグーン1 ~落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる~(HJ文庫、2019/10)
奴隷志願なエルフさん ~お買い上げありがとうございます、ご主人様!~(美少女文庫、2020/01)
引き籠もり魔王が奴隷エルフを買ったら(美少女文庫、2020/07)
吸血姫譚アストリッド(美少女文庫、2020/11)
おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~(講談社ラノベ文庫、2020/12)
けいたん。 ~ライトノベルは素敵なお仕事。多分?~(講談社ラノベ文庫、2021/01)
殺し屋志願の奴隷エルフさん(美少女文庫、2021/01)
絶対魔剣の双戦舞曲1 ~暗殺貴族が奴隷令嬢を育成したら、魔術殺しの究極魔剣士に育ってしまったんだが~(HJ文庫、2022/07)
聖戦勇戯 ~魔王が死んで100年後~ 1巻(漫画、2022/12)

ハヤカワ文庫JA

Posted by お亀納豆