【ボーダー】三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚【感想/ネタバレ】

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著:野村 美月 イラスト:月岡 月穂

「ぼくは、本に捧げたぼくの一生を、後悔……しない」

文春文庫2020年12月の新刊。約1日の積み。復活してから凄い勢いで新作を刊行している野村さんが遂に一般小説へ進出。と言っても表紙はボーダーっぽい装いだし、ウチのブログではボーダー扱いとしました。

三途の川べりにあるおらんだ書房。そんな書店の一癖も二癖もある店主が店を訪れる死者達に人生の最後に1冊に相応しい本を紹介する連作短編集。
復活してから出す作品としては4作目になるんだと思うが、またしても本を扱ったお話である。短編形式なのは体力的な問題だから致し方ないとして、本ネタばかりというのは意図的なものなのかしらん。
短編形式での書き易さを考えるとこうなるんだろうか……。

何といっても舞台が三途の川なので、当然登場するキャラの殆どは死者ということになる。この時点でもうどんな状況であれ大なり小なり切ないんだよなぁ……。
初っ端から崩れた本の山に下敷きになって亡くなった青年をぶっ込んでくるあたり、なかなかに容赦がない。
よく崩れた本の下敷きに……みたいな話があるけど、あれって本当に死に得るの?そりゃ高所から辞書とかが落ちてきたら当たり所が悪くて死ぬ、とかいうことはあるかもしれないが……。

先立たれた夫に初めて恋をする老婆のエピソードがばちくそハートフルで甘くてなぁ。野村さん、こういう話を書くと凄まじい輝きを放つんだよな……。胸がきゅんきゅんするぞなもし。
虐待で亡くなってしまった男の子のお話は単純にキツいよね……。

眼鏡を掛けた自分の顔にコンプレックスを抱いている女性のお話は自分と年齢が近いこともあって共感してしまうじゃない。呪う呪うと連呼していたからアレだったが、そこまで悪いことをしてたいようにも思えない……。

読者からの反応がトラウマになってしまって筆を折りかけていた漫画家のお話は、これって野村さん自身の話なのでは……。
しれっと野村さんの代表作『文学少女』シリーズの劇中作「青空(ソラ)に似ている」のタイトルが登場していますね。世界観が繋がっている、というほどのリンクではなさそうだけども。

これはシリーズ化するのかしら。形式上、無限に話を作れるタイプではあるが……。

燃:C 萌:A 笑:B+ 総:A

著者リンク
〝葵〟 ヒカルが地球にいたころ……①(ファミ通文庫、2011/05)
ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件(ファミ通文庫、2012/02)
吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる①(ファミ通文庫、2014/05)
陸と千星 ~世界を配る少年と別荘の少女(ファミ通文庫、2014/06)
アルジャン・カレール ~革命の英雄、或いは女王の菓子職人~〈上〉(ファミ通文庫、2014/10)
親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰(ダッシュエックス文庫、2014/11)
下読み男子と投稿女子 ~優しい空が見た、内気な海の話。(ファミ通文庫、2015/06)
SとSの不埒な同盟(ダッシュエックス文庫、2015/07)
晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と(講談社タイガ、2015/10)
楽園への清く正しき道程 0番目は北国産のツンドラ王妃?(ファミ通文庫、2015/11)
むすぶと本。 『外科室』の一途(ファミ通文庫、2020/06)
記憶書店うたかた堂の淡々(講談社タイガ、2020/07)
世々と海くんの図書館デート 恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、絵本をめくるのです。(青い鳥文庫、2020/10)
ストーリーテラーのいる洋菓子店 月と私と甘い寓話(ソフトカバー、2020/12)

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三途の川のおらんだ書房 迷える亡者と極楽への本棚 (文春文庫)

文春文庫

Posted by お亀納豆